門脇麦、映画『オールド・フォックス』出演きっかけで台湾伝統料理にチャレンジ!
「台北の食堂や屋台で食べる料理も大好きですが、昔から伝わる伝統的な料理にはまた違った魅力があります」
そんな願いを叶えるべく、今年3月中旬に門脇は台北を再訪。伝統料理を提供するレストラン「辦桌学苑」で、実際に料理作りを教わる機会を得た。プライベートでも料理が好きという門脇がエプロンを携えて門を叩いた。
この日教えてもらうのは、祝いの席で欠かせない2品の料理。一つは尾頭付きの白身魚を使った甘酢あんかけで「五柳枝鮮魚」(ウーリュウヂィーシィェンユー)という料理。厨房に用意された大きな魚を見て、門脇の目が輝く。
「これは…ハタですか⁉︎」と門脇が尋ねると、台湾のシェフは「よく知っているね」と驚く。
実は、門脇は大の釣り好き。時間があれば海に出かけ、釣った魚を持ち帰ってさばき、料理するのが趣味なのだ。「捌いてみるかい?」というシェフの言葉に、包丁を握る門脇。あっという間に丸魚を切り身してしまった。
切り身は油をカンカンに熱した中華鍋でカリッと揚げる。別の鍋で野菜類を炒め、あんかけを作ったら、器に盛り付けた揚げ魚にかけて完成だ。
「調理がスピーディで、短時間で仕上がるのですが、それぞれの食材を別々に調理するなど、工程はとても丁寧。日本料理も手が込んだものが多いですが、また違った丁寧さで、おもしろいですね」と感心する。
2品目は「干貝佛跳牆」(ガンベイフォーティアォチィァン)という料理。大きな壺の中に海鮮や肉、キノコ、木の実、乾物などを入れて蒸したもので、その贅沢さとおいしさから「スープの王様」と呼ばれる料理だ。
門脇がまず驚いたのは、用意された食材の種類の多さだ。「木の実もキノコも初めて見るものばかり!茹でたり水で戻したり、それぞれ食材に合った下ごしらえがしてあって、これは気の遠くなるような作業ですね。さすが“スープの王様”です!」
海の幸と山の幸がふんだんに入ったスープは様々な出汁が織りなす奥行きのある風味で、食べるごとにおもしろい食感に出会う。
「このキノコは…、もしかしてキヌガサタケですか?」と門脇。キノコ図鑑を愛読するほどキノコが好きというだけあって、何度も口に運んでは形をチェック。いつか食べてみたいと願っていたキヌガサタケを実食できたと、興奮を隠せない様子。
「台北の食堂や屋台で食べる料理も大好きですが、昔から伝わる伝統的な料理にはまた違った魅力がありますね。いまでも台湾の人々は結婚式や入学式、会社の歓送迎会など、人生の節目にはこうしたお料理を食べると伺いました。様々な世代の人々が一緒に円卓を囲んで、昔ながらの方法で作られた、丁寧で華やかな料理を食べる。そんな習慣が残っているのはすばらしいことだなと感じます」。
台湾伝統料理を体験したことで、映画撮影の現場で感じた思いが蘇ってきたという門脇。
「お料理や食文化にしても、台湾の方はやっぱり歴史というものを大切にしているんですね。時代ごとに新しい料理を生み出しつつも、ずっと続いてきた伝統的なものも失わず、大事にする。そうした文化や姿勢が若い世代にも伝わっていることがすばらしいなと思います。日本にも食だけでなく、昔ながらの様々な文化が残っているので、そういうものに目を向けていくことを忘れずにいたいなと改めて感じた体験でした。『オールド・フォックス 11歳の選択』のなかにも、随所にそう感じられる部分があると思うので、ぜひたくさんの方に観て、台湾の文化を“味わって”いただけたらうれしいです」。
取材・文/小林百合子
門脇麦
俳優。1992年生まれ、東京都出身。2011年ドラマでデビュー。映画『愛の渦』(14)、『二重生活』(16)、『止められるか、俺たちを』(18)などで数々の映画賞を受賞。大河ドラマ「麒麟がくる」でヒロインを演じ、最近ではドラマ「リバーサルオーケストラ」「ながたんと青とーいちかの料理帖ー」「厨房のありす」、映画『あのこは貴族』(21)『ほつれる』(23)で主演を務めた。5月28日~6月16日、宮崎駿初監督アニメの舞台『未来少年コナン』(東京芸術劇場プレイハウスにて)に出演している。
衣装協力
ブラウス 24,200円、テーパードパンツ 27,500円、ジャケット 47,300円/ともにヤッコマリカルド(ワイエムファッション研究所)、エプロン 9,900円/シー(エスストア)
取材協力
■台湾観光庁
https://jp.taiwan.net.tw/
■辦桌學苑(Pantoh Academy)
住所:11469台北市內湖區行善路50號
電話番号:(+886) 2-8791-0618
https://www.pantoh.com.tw/