公開中の映画をテレビ配信!“呉越同舟”が映画業界に風穴を開けるか
2008年度サンダンス映画祭グランプリを受賞、アカデミー賞候補にもなった映画『フローズン・リバー』(1月30日公開)。日本では危うくお蔵入りになるところを東京・渋谷のミニシアター「シネマライズ」が直接権利を買うことで公開に踏み切り、注目を集めている。そんな中、さらに驚くべき発表が。なんと、劇場公開とほぼ同時にテレビ配信(VOD)を始めるというのだ。
配信を行うのは、インターネットを利用してデジタルテレビ向けに動画コンテンツを有料配信するポータルサービス「アクトビラ」。普通に考えれば、VODと映画館とは互いに客を取り合う、いわば敵対関係にあり、公開中の映画をテレビで上映するなど通常では考えられないことだ。
それが今回、双方が手を結ぶことになった裏には、厳しい映画業界を何とかしたいという切実な想いがある。映画館シネマライズは、インターネット配信がクチコミや映画への興味喚起などで結果的に映画館への観客動員数を増やしたアメリカの例に倣い、競争ではなく共存する道を選んだという。本サービスを展開するマイシアター側も「映画鑑賞の総人口増加と市場発展に寄与したい」とやる気満々だ。
映画ファンならずとも、そこまでしてでも観てもらいたいと思わせる『フローズン・リバー』がどれほど素晴らしい作品なのかも非常に気になるところだ。VODは本作公開1週間後の2月6日(土)より配信開始され、料金は1200円。チケット代より安い上、とりわけミニシアターが少ない地方在住の人にとって、このスピードはありがたい。これを機会に、“映画館とオンデマンド”という日本初の映画鑑賞システムを試してみてはいかがだろうか。【Movie Walker】
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