CGを使わない撮影にキャスト陣も困惑!?『ツイスターズ』視覚効果アーティストが解説する“最強の竜巻モンスター”の創り方
「ジュラシック・ワールド」の製作陣が放つアクション・アドベンチャー超大作『ツイスターズ』が8月1日(木)に公開となる。本作は、最強の竜巻モンスター「ツイスターズ」が群れをなして発生し、竜巻にトラウマを抱えた気象学の天才ケイトや、竜巻チェイサーのタイラーなど、知識も性格もバラバラな寄せ集めチームが、前代未聞の“竜巻破壊計画”を企てる。果たして彼女たちは、驚愕のチームワークで、地球が生んだ最強モンスター、巨大竜巻を倒せのか?
本作の視覚効果を手がけたのは、クリストファー・ノーラン監督作品の常連で『インターステラー』(14)と『TENET テネット』(20)ではアカデミー賞視覚効果賞受賞した視覚効果アーティスト、スコット・R・フィッシャー。“竜巻”を描くにあたり、すべてをCGで表現することはせず、本物の水や風、氷を駆使して、主演俳優陣すら驚くほどに“リアルな撮影”を敢行していたことを明かした。
地球を丸飲みするほどのパワーで襲い掛かるツイスターズ。“竜巻マニア”だという製作総指揮のスティーブン・スピルバーグと、リー・アイザック・チョン監督率いる現場で、フィッシャーは視覚効果スーパーバイザーとして“最強の竜巻モンスター”の制作を担当した。彼は『ターミネーター2』(91)、『パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト』(06)、『トップガンマーヴェリック』(22)を担当してきたレジェンドであり、『インセプション』(10)や『オッペンハイマー』(23)などにも参加してきた。
今回の“竜巻モンスター”の創造について彼は「私たちは、クレイジーで暴力的な竜巻のシーンを創るために限界に挑みました。まず、いろんなものを破壊して吹き飛ばすために、ハリウッド中の風を起こすマシンを入手して、より強力なジェットエンジンも揃えたんです。雨については、巨大タンクの水に加えて、高空気圧式の水砲も使用しました。また、約15トンもの本物の氷も雹として使いました」と解説。すべてをCGで表現するのではなく、実はできる限り本物を追求したことを説明した。
さらに、「高いところから巨大なモノを落としたり、木の葉を時速160kmで飛ばしたり、キャスト陣の近くに水泡や雹を飛ばしたり、あらゆることを行いました。すばらしいことにキャストたちは皆、すべてに対して覚悟をもって臨んでいて、挑戦してくれました。本当に勇敢だったと思います」と、キャスト陣に敬意を表しつつ、リアリティを追求した撮影裏についても解説してくれた。
その撮影にはキャスト陣も驚愕していたようで、トラウマを抱えた気象学の天才・ケイトを演じる、デイジー・エドガー=ジョーンズは、「クレーンで吊り上げられた大きいトレーラーが空から降ってきました。もちろん安全は保たれていたけど、クレイジーな撮影でした。別の日には、車に縛り付けられた状態で洗濯機の中みたいに逆さまに回転したんです!そして車を使ったアクションも多かったから、かなりスピードを出した運転にも挑戦しました。『ツイスターズ』のおかげで、次の『ワイルド・スピード』シリーズの仕事の良い準備ができました」と振り返った。
さらに、命知らずの竜巻チェイサー・タイラーを演じる、グレン・パウエルも「全身に点々のセンサーを取り付けて、屋内のスタジオにいるものだと思って契約にサインしたんだけど(笑)、ジェットエンジンを使用し猛スピードで氷が私たちに飛んできたんです!」とユーモアを交えながら“困惑”を語った。
炎をまとった火柱竜巻、闇夜に忍び寄る竜巻、双子の竜巻…とあらゆる形で次々に人類へ襲い掛かるツイスターズを彼らは倒すことができるのか!?実際の観測データに基づき製作された、リアルかつド迫力の圧倒的パワーで観客に襲い掛かるツイスターズを、ぜひ大スクリーンで体験してほしい。
文/山崎伸子