堂本剛演じる男が段々と“◯”にとらわれていく…『まる』奇妙な場面写真が一挙公開
堂本剛が主演を務め、『かもめ食堂』(06)、『彼らが本気で編むときは、』(17)の荻上直子が監督と脚本を手掛けた映画『まる』(10月18日公開)。本作より、段々と“◯”にとらわれていく堂本演じる主人公、沢田の様子を捉えた場面写真が一挙に解禁となった。
2024年にデビュー26周年を迎えたKinKi Kidsとして国民的スターの顔を持ち、クリエイティブプロジェクト「.ENDRECHERI.」としても独自の道を切り開く堂本が、1997年に公開された『金田一少年の事件簿 上海魚人伝説』以来、27年ぶりに映画単独主演をはたす本作。近年では音楽活動が中心となっていたが、約2年前から荻上監督と企画プロデューサーによる熱烈オファーを受け、「自分が必要とされている役なら」と心を動かされたことで出演に至ったという。
堂本が演じるのは、美大卒だがアートで身を立てることができず、人気現代美術家のアシスタントをしている男、沢田。独立する気配もなければ、そんな気力さえも失って、言われたことを淡々とこなす毎日に慣れてしまっている。ある日、通勤途中に事故に遭い、腕の怪我が原因で職を失ってしまう。部屋に帰ると床には蟻が1匹。その蟻に導かれるように描いた◯(まる)を発端に、日常が◯に浸食されていく。
これまで自らストーリーを進めていく役柄の多かった堂本だが、沢田は不思議な事態に巻き込まれていくキャラクターで、27年ぶりの単独主演にして新境地を魅せる。さらに今回は、「.ENDRECHERI./堂本剛」として映画音楽も担当。「.ENDRECHERI.」と「堂本剛」のWネームで、初の映画音楽にチャレンジしている。
沢田を取り巻くキャラクターに、綾野剛、吉岡里帆、森崎ウィン、柄本明、小林聡美ら豪華キャストの出演も決定。『彼らが本気で編むときは、』で第67回ベルリン国際映画祭の観客賞&審査員特別賞を受賞、『波紋』(23)で第33回日本映画批評家大賞監督賞を受賞するなど、国内外で高い評価を得る荻上監督のもと、独特の世界観で奇妙なおかしみのある人間たちによるドラマが展開される。
今回解禁されたのは、本作の不思議な世界が伝わって来る場面写真。沢田が現代美術家のアシスタントとして働く日常から、段々と◯にとらわれていく様子が捉えられており、自宅で飼う古代魚の様子を伺い、自転車で仕事場に向かい、アシスタントとして絵を描く日常が並んでいる。そうやって淡々と日々をやり過ごすだけの沢田に対し、吉岡演じる同じ職場で働く矢島は、どこか遠慮しながらもなにかを訴えかけるような鋭い目線を投げかけている。
そんな日常が一変し、「さわだ」の◯が社会現象となっていくが、その正体を知らない綾野演じるアパートの隣人で売れない漫画家の横山は、自分と「同類」だと思い込んで沢田に近づいていく。さらに、腕を怪我しコンビニでアルバイトを始めた沢田とともに働く森崎演じるコンビニ店員、モーが、横山と対峙する沢田を心配そうに見つめるカットや、小林演じる野心的なギャラリーオーナーの若草萌子が沢田を諭している様子、◯を突き付けるおいでやす小田演じる沢田の高校の同級生、吉村など、沢田と彼を取り巻く人々との関わりで物語が動き出す様子が明らかになった。
そして、広い屋上で様々な大きさ、色の◯を描く沢田。こちらは◯にとらわれた沢田の行き着く先が気になる一枚に。個性豊かなキャラクターたちに巻き込まれ、転がり出した運命の先で沢田は一体なにを見つけるのか?映画『まる』の不思議な魅力が垣間見える場面写真を眺めながら、さらなる続報に注目したい。
文/平尾嘉浩