森崎ウィン、デリコNAOKIの音響調整現場に「立ち会いたい!」Spotify|轟音特別上映会イベントで志願
【名曲映画を、浴びつくそう。】をテーマにTOHOシネマズとSpotifyがコラボする「Spotify|轟音 特別上映会」の初開催記念イベントが8月29日、TOHOシネマズ池袋にて開催され、森崎ウィンとLOVE PSYCHEDELICO(ラブ・サイケデリコ)のNAOKIが登壇。TOHOシネマズが誇る“轟音シアター”の音についてトークを展開した。
轟音シアターの音響調整を監修しているNAOKIは場内を見まわし、「何度も足を運んでいる場所なので、庭のようなもの」と慣れた場所でのトークに居心地の良さを感じていると笑顔。冒頭から「きっとみんなもう、ついてこれてないと思う(笑)」と観客の表情に苦笑いしながら監修者ならではの音へのこだわりトークをバシバシと繰り広げる。
NAOKIが監修する轟音シアター、プレミアムシアターの特徴は音がスッキリ聞けるところで、静かなシーンのあとに音が鳴り、ふっと止まることは、スピーカーの距離の計算が合っていることを意味するという。「音は光と違って遅く届く。34センチ離れると1/1000秒のズレが生じる」とし、このズレの調整がNAOKIの担当しているパートと説明。さらに重低音のスピーカーであるウーハーは、要所要所で使うものとし、「例えばゴジラの足音のように重要なところで監督が使うもの」と明かし、「クリストファー・ノーラン監督は、ウーハーに頼らずに通常のLRで(音を)鳴らす。だから、田舎の映画館では(音に耐えきれず)スクリーンが壊れるという話も聞きます(笑)」とノーラン監督のこだわりポイントを指摘し、会場の笑いを誘った。重低音をより楽しむために設置されているウーハーは、本当の重低音で聞かせたい時だけに使うよう調整するそうだ。
音響の調整では映画の前に、マイケル・ジャクソンの「ビリー・ジーン」や「スリラー」をかけて音の反響やズレを確認するというNAOKI。「世代なのでマイケルになっちゃうんだけど、分かるかな?」と客席を見渡すNAOKIだったが、「分かります!分かります!」と前のめりになる森崎。「ビリー・ジーン」のイントロを鳴らして音のズレを調整していくと解説するNAOKIに、「今度、マジで見学させてください!」と興味津々の森崎。0.03、4ミリ程度の距離の音の補正をしていくという、あまりにも細かい作業の話で、NAOKIは「きっと皆さんは、早く『ONE PIECE』観せろ!って思ってる」と、トークイベント終了後に上映予定の『ONE PIECE FILM RED』(22)を待ち望む観客の気持ちを推察し笑わせる場面も。するとMCがこの日会場に足を運んだ「いい音で映画を楽しみたい!」という観客に向かって、轟音シアターのおすすめポイントを挙げ「通常の映画館では座る場所によって音が違ったりするもの。轟音シアターに関しては、真んなかも隅っこもいい音で聞ける。ハズレの席はありません!」と補足し、どこに座っても楽しめる特別な空間だとアピールしていた。
この日を皮切りに月1で名曲映画と轟音サウンド体験のコラボが楽しめる企画は、TOHOシネマズとSpotifyのコラボ。いちリスナーとして、Spotifyを使っているという森崎は、Spotifyのプレイリストも頻繁に聴いているそうで「アルゴリズムがすごい!最近はジブリばっかり出てきて、ジャズバージョンとかいろいろなジブリの曲を聴いています」と報告。意外なタイミングで意外な曲が流れてきてびっくりすることもあるのもSpotifyの魅力と盛り上がっていた。
今後の上映ラインナップは、9月が『竜とそばかすの姫』(21)、10月は『BLUE GIANT』(23)、11月は『セッション』(14)、12月が『ラ・ラ・ランド』(16)となっている。NAOKIが気になるのは『ラ・ラ・ランド』だそうで、「最初に(音響監修の)オファーを受けた時に上映されていたのが『ラ・ラ・ランド』。(調整で)かけられる映画はその週にかけるものだけがデータに入っているので、『ラ・ラ・ランド』はよく観たし、聞きました」と振り返り、「遠くのバスの音などさりげないところでウーハーが鳴ったかなくらいに感じる」とし、通常のシアターで観るよりも、少し重低音を感じながらもそれがとても自然に楽しめる映画だとおすすめ。
森崎は『セッション』が気になるそうで「ドラムを叩いた時、キックでウーハーが出てくるのかな。打楽器はどこで重低音になるのかが気になります。低い音にしか反応しないとしたら、あのドS教師の怒鳴り声になるのか…(笑)」と気になるキャラクターに触れつつ、「演者の息遣いとかもめちゃくちゃいいスピーカーで聴きたいです!」と轟音シアターで楽しみたいポイントを話した。
NAOKIは名曲映画は映画館で観るのが絶対いいと強調。Blu-rayはテレビで観るという環境にあわせた音量調節になっているとし、「映画館では(テレビでいうところの)2から50くらいのボリュームの差を強弱で表現しています」と説明。家では通常15-20くらいのボリュームでテレビを鑑賞するため、映画館でしか体験できない音の強弱になっているそうだ。音響調整の監修を始めてから、音に詳しい観客が多いことも実感しているというNAOKIは「DMにメッセージが来ます」とニヤニヤ。劇場名、スクリーン番号、該当シーン、スピーカーの位置まで調子の悪さを感じた箇所を詳しく説明した観客のメッセージを「僕がTOHOシネマズさんに転送しています(笑)」と明かし、笑わせた。ちなみにズレが分かるのはピッタリと音が調整されている証拠とのMCが語ると、「こういう(音に詳しい)ほうが多い!」と力を込め、音響調整担当としての大変さを滲ませていた。
なお、月1で12月まで開催される特別上映会では、鑑賞記念のステッカーも配布されるそう。ステッカーは毎回デザインが変わるので、記念に集めて欲しいのMCからの呼びかけでイベントは幕を閉じた。
取材・文/タナカシノブ