菅田将暉が初の黒沢清組に緊張、窪田正孝は“スピ認定”を全否定!『Cloud クラウド』ジャパンプレミアにキャスト陣が大集合
第81回ヴェネチア国際映画祭と第49回トロント国際映画祭に出品され、第97回アカデミー賞国際長編映画賞の日本代表にも選出されている黒沢清監督の最新作『Cloud クラウド』(9月27日公開)。本作のジャパンプレミアが9月10日にTOHOシネマズ六本木ヒルズにて開催。主演の菅田将暉を筆頭に、古川琴音、奥平大兼、岡山天音、荒川良々、窪田正孝、そして黒沢監督が上映前の舞台挨拶に登壇した。
“誰もが標的になりうる”日常と隣り合わせの恐怖を描く本作。町工場に勤めながら転売で日銭を稼ぐ吉井良介(菅田)は、先輩の村岡(窪田)からの儲け話にも耳を傾けず、コツコツと悪事を働いていた。そんな折、昇進の話を断り職場も辞めた吉井は、恋人の秋子(古川)と郊外で新しい生活をスタート。地元の若者、佐野(奥平)を雇い、転売業が軌道に乗ってきた矢先、吉井の周りでは不審な出来事が重なりはじめ、やがて吉井の日常は急速に破壊されていくことに。
2つの国際映画祭から凱旋帰国したばかりの黒沢監督は「映画祭だと途中で出ていく人が多いので覚悟をしていたのですが、皆さん熱心に観ていただけたと思います」と振り返り、「ヴェネチアでは皆さん固唾を飲んでじっと見守るような感じで、トロントでは意表をつかれたのか結構笑う方がいらっしゃいました。それをねらって作ったわけではありませんが、皆さん笑っても大丈夫です(笑)」とこれから作品を観る観客たちに呼びかける。そうした海外での反応を受けて菅田は「うれしいですね。それを語っている監督がうれしそうなのもうれしいです」と笑みをこぼした。
この日登壇したキャスト6名は、全員が黒沢監督の作品に初出演。「毎日楽しかったですし、スタッフさんもすごく活き活きとされていて、ほかではあまり見たことがないぐらい楽しそうでした」と充実感たっぷりに語る菅田に、古川も「キャストだけじゃなくスタッフの皆さんとも息を合わせて作るシーンが多かったです」と現場の一体感をアピール。一方、キャストのなかで最年少の奥平はとにかく緊張していたようで「クランクイン3日目の撮影中、ずっと心臓がバクバクしていて、終わったあとに録音部さんから『心臓バクバクだったね』と言われて恥ずかしかったです」と振り返った。
舞台挨拶中も会話が途切れないほど息ぴったりのキャスト陣について黒沢監督は「主要な俳優の方々がほとんど初めての方ばかりだったので、どういう現場になるのか予想もできず不安もありましたが、皆さん協力的で僕のつたない指示にも従っていただき、本当に感謝しかありません」と絶賛。なかでも現場での窪田の様子が特に印象的だったようで、「お芝居で残酷なことをしていてもカットがかかった瞬間に本当に楽しい現場になる。どの現場にも窪田さんがいてほしいなと思いました」とベタ褒めし、思わず窪田も「ほ…本当ですか!?恐縮です…」と困惑した表情を浮かべていた。
その後、作品のキャッチコピーである“気がつけば標的”にちなみ、「気がつけば〇〇」をお題にしたトークへ。全員がいっせいにフリップを掲げると、大きく「スピ認定」と書いたフリップを持った窪田に会場からは笑いが巻き起こる。先月SNSで鍼治療を受けた画像をアップしたところ、ネット上で意図せず“スピリチュアル認定”をされてしまった窪田。「この映画の吉井のようにいつの間にか標的にされていましたが。凝りを取っただけです!SNS怖い!人って怖い!」と噂を全否定。
また菅田は「気がつけば緊張」と、本作のクランクイン前日に緊張のあまり負傷続きだったエピソードを披露。「さつまいもの皮をピーラーで剥いていたら、そのまま指も…。落ち着こうとしたら奥歯が割れてしまって、すごい噛み締めていたんでしょうね。そのまま歯医者に行き、次の日にクランクインでした」と会場を驚かせ、さらに撮影中にも数ミリ残さなければいけなかった髭を誤って剃り落としてしまったことを告白。「それだけ緊張してたんだな…」と呟く菅田に、奥平は「仲間がいてよかったです」と満面の笑みを向けていた。
取材・文/久保田 和馬