ナタリー・ポートマン、大好きなアドリブを封印?

インタビュー

ナタリー・ポートマン、大好きなアドリブを封印?

実在した人物をモデルに、美しきスピリチュアリストの姉妹を演じる
実在した人物をモデルに、美しきスピリチュアリストの姉妹を演じる[c]Les Films Velvet - Les Films du Fleuve - France 3 Cinema - Kinology - Proximus – RTBF

“フランスのソフィア・コッポラ”との呼び声も高い美貌の天才レベッカ・ズロトヴスキ監督が、実在したスピリチュアリズムの先駆者フォックス三姉妹と、フランスの伝説的映画プロデューサー、ベルナール・ナタンをモデルに、1930年代のパリで降霊術を用いて人々に“見えないものを見せようとする”バーロウ姉妹が、映画プロデューサーのコルベンと出会い、運命を狂わせていく様子を描いた『プラネタリウム』(9月23日公開)。

美しく聡明な野心家のローラは、霊感の強い妹のケイトが行う降霊術の演出家のような立場だったが、映画プロデューサーのコルベンに女優としての才能を見出され、彼女自身が演出される側になっていく。今回、ローラを演じたナタリー・ポートマンにインタビューし、本作のテーマについて聞いた。

【写真を見る】プロデューサーに見出されたローラは女優へと変貌していく
【写真を見る】プロデューサーに見出されたローラは女優へと変貌していく[c]Les Films Velvet - Les Films du Fleuve - France 3 Cinema - Kinology - Proximus – RTBF

「この姉妹の関係性のシフトこそが、本作の面白いところだと思うわ。最初ローラは、ケイトを売り込むエージェントのような役回りだったのに、スポットライトが自分に当たると、彼女はそれを戸惑いもせず喜んで受け入れる。二人の関係性が面白いのは、お互いへの深い愛情が間違いなくそこにはあるのだけれど、競争心もあるところ。それによって生まれるテンションが面白いの」。

徐々に変化していくローラを演じたナタリーは「“女優”という職業への考え方は大きく変わったと思うわ。レベッカ監督に言っていたのは『キャラクターたちは全員がお互いを誘惑し合っている。映画というものも、人を誘惑するものなのかもしれない』ということ。たしかに、映画は我々の持つ欲望を表現しているものだし、ローラはそういうものを体現している存在なんじゃないかしら。そういう考え方に本作で出会って、映画作りに対する考え方が変わったの」と、自身の気持ちにも変化があったことを明かした。

劇中登場する映画プロデューサーのコルベンは、降霊術で呼び寄せた霊をフィルムに収め、前代未聞の映画制作しようする。ナタリーは、そんなコルベンに女優として魅力を感じたようで「モデルとなったベルナール・ナタンは心霊主義者ではないけれど、コルベンも彼と同じく新しいことをしようとしている人なので、私だったら彼と組んで仕事をすると思うわ」と、彼が実在したら一緒に仕事をしてみたいと語った。

本作では封印!実はアドリブが好きだという
本作では封印!実はアドリブが好きだという[c]Les Films Velvet - Les Films du Fleuve - France 3 Cinema - Kinology - Proximus – RTBF

多くの映画に出演してきたナタリー。実はアドリブを入れることが好きだという。「アドリブは大好き。だけど、その監督の方向性には従うようにしているの。監督や脚本家は台詞を変えられることを嫌がるし、その両方を兼任している人もいますから。彼らが望んでいることをリスペクトするようにしているけど、遊び心をもっていろいろするプロセスが大好き。実はアドリブが好きな監督を選びがちなんだけど、本作ではまったくできなかったわ。私はフランス語のネイティブじゃないから、どうしてもアドリブはちょっと怖かったの」と今回は自分のスタイルを封印して撮影に臨んだことを告白。

スピリチュアルなものを通して大きな力を手にいれた女性たちがいた
スピリチュアルなものを通して大きな力を手にいれた女性たちがいた[c]Les Films Velvet - Les Films du Fleuve - France 3 Cinema - Kinology - Proximus – RTBF

また、バーロウ姉妹と同じくスピリチュアリストとして生きた女性たちについて、どのような役割を彼女たちが果たしたかを語った。「バーロウ姉妹は、19世紀に実在したフォックス三姉妹が元になっているけど、心霊主義は当時のアメリカで大きなトレンドだったの。面白いのは、女性の権利問題について初めて声を発したのも、実はスピリチュアリストの女性たちだったということ。当時、男性が女性に意見を求めることはなかったわ。だけど、女性と子どもは純粋な存在として霊に非常に近く、霊と交信できるのではないか考えられていたの」

「彼女たちが『霊から聞いた意見だ』と言えば、話を聞いてもらえた。だから『奴隷制度を廃止するべきだと霊が言っています』とか『女性も参政権を持つべきだと霊が言っています』という風にして、彼女たちの意見が取り入れられていったこともあったの」

「最初に女性の権利について立ち上がったのも彼女たちよ。ヴィクトリア・ウッドハルという人は、女性として初めて大統領選挙に立候補した人物で、彼女もスピリチュアリストだった。それに彼女は、女性初の株式仲買人でもあったの。ヨーロッパにも遠征して、ビジネスマンに意見などもしていたらしいわ。女性でありながら、スピリチュアルなものを通して大きな力を手にすることができた興味深い話だと思うわ」。

本作でナタリーが演じたローラは、降霊術や映画を通して人々の持つ欲望を体現していく。そしてナタリーも、自身が“女優”という職業を通して、多くのメッセージを人に伝える存在であると認識したという映画『プラネタリウム』。本作で誰よりも野心を露わにし、誰よりも変化していく人物を演じたナタリー・ポートマンの演技にも大注目だ。【Movie Walker】

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