『ソーシャル・ネットワーク』(10)で俳優としてブレイクし、『僕らの世界が交わるまで』(22)で監督デビューを果たしたジェシー・アイゼンバーグ。彼が再びメガホンを取り、脚本、製作、主演も務めた『リアル・ペイン〜心の旅〜』が2025年1月31日(金)より公開される。このたび、完全日本オリジナル版のキービジュアルが到着したほか、予告映像、場面写真も一挙解禁となった。
第40回サンダンス映画祭でウォルド・ソルト脚本賞を受賞した本作。かつて兄弟同然に育ち、近年は疎遠になってしまった従兄弟のデヴィッドとベンジーが数年ぶりに再会し、亡くなった最愛の祖母を偲ぶため、彼女の故郷ポーランドを旅する姿を紡いだロードムービーとなっている。
アイゼンバーグは主人公のデヴィッド役で出演。また、W主演として、デヴィッドの従兄弟であるベンジー役を「メディア王〜華麗なる一族〜」でゴールデン・グローブ賞、エミー賞をW受賞したキーラン・カルキンが演じ、本作でも神がかり的演技を見せ、アカデミー賞ノミネートにも期待がかかる名演を披露している。このほか、ウィル・シャープ、ジェニファー・グレイら、新旧注目の共演陣が脇を固め、『僕らの世界が交わるまで』に引き続きエマ・ストーンがプロデューサーとして名を連ねる。
解禁された予告映像は、旅立ちの地となる空港からポーランドのツアー旅行に参加し、様々な地を巡りながら、旅行の目的地であるマイダネク(※ナチス・ドイツが設置した強制収容所の一つ。現在は跡地として見学が可能)へ向かう道中、家族のルーツやそれぞれの人生の葛藤と向き合う2人の姿が映しだされている。
アイゼンバーグ演じるデヴィッドは、華やかさはないものの安定したIT業界で働き、ブルックリンの自宅に妻と子どもがいる地に足がついたように見えるキャラクター。対するベンジーは、情熱的でチャーミング、自由奔放で人を魅了するが、どこか危うさを合わせ持ち、アンバランスな一面も垣間見える。しっかり者のデヴィッドと、どこか子どものようなベンジーが、時に騒動を巻き起こしながらもツアー旅行に参加する様子がコミカルにテンポ良く描かれ、対照的な2人のユニークなキャラクターも相まって、抜群の“バディ・コメディ”であることを感じさせてくれる。
デヴィッドとベンジーと共にツアーに参加する面々も個性的な人々ばかり。彼らの姿もまた、今回の予告映像と場面写真で確認できる。教養があり温厚なツアーガイドのジェームズを演じたのは、Netflixドラマ「Giri/Haji」で英国アカデミー賞テレビ部門助演男優賞を受賞した、日英ハーフの新鋭ウィル・シャープ。また、『フェリスはある朝突然に』(86)、『ダーティ・ダンシング』(87)で知られ、ゴールデン・グローブ賞にもノミネートされたジェニファー・グレイは、ベンジーともすぐに意気投合するチャーミングな女性で、離婚したばかりで自分探しの旅としてツアーに参加するマーシャを好演する。
テレビ、映画、舞台と多方面で活躍し、ローレンス・オリヴィエ賞ミュージカル助演女優賞を受賞のライザ・サドヴィと、アイゼンバーグの舞台にも2度出演し、ブロードウェイでも活躍する実力者のダニエル・オレスケスは、仲睦まじいカップルのダイアンとマークを演じている。ツアー参加者の中でも異例の経歴を持つのが、ルワンダ内戦を生き延びたエロージュだ。同じくエロージュという名前のアイゼンバーグの友人がモデルとなっており、カート・エジアイアワンが演じる彼は、集団虐殺のトラウマを経験した唯一の人物として、ツアー客の体験内容に深みを与えている。
あわせて発表されたキービジュアルは、美しい風景のなか、寄り添うデヴィッドとベンジーの姿が印象的。参加したツアーでの新たなる出会い、旅の先々で揺れ動く感情、正反対の性格ながら互いに求め合う2人がこの旅で得たものとは?ショパンの名曲に彩られたポーランドの美しい国土の旅の先で気づく、人の笑顔の裏側にある、“リアル・ペイン(本当の痛み)”とは―。
コミカルさの中にも、エモーショナルに心を揺さぶられ、観るものの魂に響き続ける、新世代のロードムービーの傑作となった『リアル・ペイン〜心の旅〜』。第37回東京国際映画祭(10月28日~11月6日)での日本最速上映も予定されているので、こちらもぜひチェックしてみてほしい。
文/平尾嘉浩