中国の巨匠、ジャ・ジャンクー監督最新作となる『新世紀ロマンティクス』が2025年5月9日(金)より全国公開することが決定。併せて、場面写真3点が解禁となった。
『長江哀歌(エレジー)』(06)でヴェネチア国際映画祭の最高賞である金獅子賞、『罪の手ざわり』(13)でカンヌ国際映画祭脚本賞を獲得したほか、作品を発表するごとに世界の映画祭で絶賛され続けているジャンクー監督。本作は、明日11月23日(土)より開幕するTOKYO FILMeXでオープニング上映される。
2001年、炭鉱産業が廃れ失職した者で溢れていた山西省の大同(ダートン)。2006年、三峡ダム建設により水没が運命づけられた長江の奉節(フォンジエ)。2022年、マカオに隣接する経済特区として発展する珠海(チューハイ)とすっかり様変わりして都会となった大同。チャオは大同を出て戻らぬ恋人ビンを探して奉節を訪ね、ビンは仕事を求めて奉節から珠海を訪れる。時は流れ、2人はまた大同へ。恋人たちの関係と比例するように、街は変化していく。
主人公チャオを演じるのはジャンクー監督の妻でもあるミューズ、チャオ・タオ。本作で長編ドラマは8作目のタッグとなる。「過去の作品の全ては『新世紀ロマンティクス』のために、素材を集めていたのではないか、そう思わせるほど、ジャ・ジャンクーの斬新な試みは成功している」とVariety誌が評するように、本作では『青の稲妻』(02)、『長江哀歌(エレジー)』、『帰れない二人』(18)などの本編映像とともに未使用映像やドキュメンタリー映像も駆使して中国激動の22年間が描かれる。
実際の24歳、29歳、45歳のチャオ・タオの姿とともに、その時々の人々の顔と、急激に変化していく街の景色が刻まれる。映画内で人物も街も実際に変化していく、ドキュメンタリーとフィクションが融合した、類い稀な、これまでにない作品が誕生した。
今回解禁された写真は2001年、2006年、2022年の3点。大同でバスの中で視線をはずしているチャオとビン、奉節でビンを探して雨宿りをしているチャオ、大同に戻りスーパーマーケットで接客をするロボットとやり取りするチャオの姿が切り取られている。
21世紀に入り、100年に1度と言われる変貌を遂げた中国。劇的な変化を遂げる街の景色のなか、一人の女がたどる人生の変遷を描く『新世紀ロマンティクス』をぜひ劇場でチェックしてほしい。
文/平尾嘉浩