本木雅弘、倉本聰“最後の映画”『海の沈黙』舞台挨拶に感慨!『シコふんじゃった。』共演、清水美砂とは「普通の関係ではいられないようで…」
俳優の本木雅弘と清水美砂が23日、都内で行われた映画『海の沈黙』の公開記念舞台挨拶に石坂浩二、菅野恵、そして若松節朗監督と参加した。
初共演は1992年公開の映画『シコふんじゃった。』という本木と清水。本木は「それから1995年にNHKのドラマで私が狂人的作家を演じた時は妻役でした。その時は清水さんの髪の毛をザクザクと切り刻んで、今回は刺青を掘りまくって…。どうも清水さんとは普通の関係ではいられないようで感慨深い」と苦笑い。当の清水が「本木さんとは何度かご一緒して今回は夢のシーンだけでの共演でしたが、全身全霊で2人の関係を表現したくて全裸になりました!」と意気込みを打ち明けると、本木は「女優魂を感じました」とリスペクトしきりだった。
全身に刺青のある謎めいた女性・牡丹を演じた清水。「刺青を入れていると自分の中では衣を着ている感覚で全裸という感じはなかった」とさっぱりした表情で「刺青メイクは6時間くらいで落とすのはもっと大変だった。でも大好きな本木さんのために愛を込めて全裸になりました!」と改めて熱演を報告して観客から拍手を浴びていた。
『北の国から』で知られる、御年89歳の倉本聰が長年構想し、“最後の作品”として手掛けた意欲作。ある事件を機に人々の前から姿を消した天才画家・津山竜次を演じた本木は「こうして皆さんに作品を観ていただけることで私たちも安堵しています。倉本先生も富良野でこの船出をきっと喜んでいると思います。その倉本さんのひと筋縄ではいかない世界観を、粘り強い寄り添いで作品に仕上げてくれた若松監督に改めて感謝を申し上げます」と念願の封切りを喜んだ。
現在全国ツアー中で舞台挨拶に参加できなかった小泉からは「若松監督のカット割りカッコ良いですよね!画家の役の石坂さん流石の説得力でしたよね。清水さん菅野さん美しかったですよね。そして本木さん!孤高の天才画家は切なくて儚くて素敵でしたよね。倉本聰さんが長い間温めていた物語がいよいよ世に放たれました。この物語が今を、この2024年を選んだのだと思います。観てくださった皆さんはこの物語の目撃者です。目撃証言を拡散していただければ幸いです。『海の沈黙』という映画の旅が素敵な場所に辿り着きますように」とのコメントが届いた。
このサプライズに本木は「映画の仕事とは架空の物語を演じるわけだけれど、私たち役者にとってはスクリーンに焼き付いた自分たちのドキュメンタリーのような記録という側面があります。音楽と同じように映画を観るとその当時を思い出すように、この映画が皆さんの中で残っていく映画になったら嬉しいです。そして80歳、90歳になって改めて皆さんとこの映画の事を振り返ることが出来たら」としみじみしていた。
取材・文/石井隼人