第81回ベネチア国際映画祭で最高賞の金獅子賞を受賞したペドロ・アルモドバル監督最新作『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』(2025年1月31日公開)。本作より場面写真が到着した。
色鮮やかな映像とユーモアにあふれた物語で観客を魅了してきたペドロ・アルモドバル。アカデミー賞外国語映画賞に輝いた『オール・アバウト・マイ・マザー』(99)、アカデミー賞脚本賞を受賞した『トーク・トゥ・ハー』(02)をはじめ映画界に偉大な足跡を残し続ける名匠が贈る最新作は初の全編英語作品。病に侵され安楽死を望む女性と彼女に寄り添う親友の最期の数日間に迫った物語だ。最高賞を受賞した第81回ベネチア国際映画祭では、およそ20分間の拍手喝采を浴び、史上最高の絶賛を受けた本作。75歳を越え円熟味を増したアルモドバルがカラフルな世界観で、人生最期のかけがえのない数日間を活写する。
出演はウェス・アンダーソン作品やジム・ジャームッシュ作品の常連として知られ、『フィクサー』(07)でアカデミー助演女優賞に輝いたスウィントンと、『アリスのままで』(14)でのアカデミー主演女優賞に加え、世界三大映画祭すべてで女優賞を受賞したムーア。ふたりのオスカー女優が親友同士を演じ、繊細で美しい友情を体現する。
スウィントンとムーアの豪華2大演技派女優の共演が話題となっている本作から場面写真6点が解禁。今回もペドロ・アルモドバル作品の特徴といえる独特な色彩感覚が存分に発揮されている。衣装や家具はもちろんの事、細かな小道具までカラフルな色使いがポイントとなっている。
自らの余命を悟ったマーサ(スウィントン)と、そんなマーサの最後の願いを聞き入れようとするイングリッド(ムーア)の2人の女性が共に過ごす数日間が描かれる本作。尊厳死という重厚なテーマを描きながらも軽やかな印象を与えるのは、アルモドバル作品ならではの色彩豊かな世界観が大きな役割を果たしている。さらにアルモドバル初の英語長編作の舞台はニューヨーク。アルモドバル流に捉えられた賑やかなニューヨークの街並みも都会的な暮らしを営むふたりの人生を描くうえで大事な要素の1つとなっている。
本作のプロダクションデザインを務めたのは、これまでにマーティン・マクドナーの『スリー・ビルボード』(17)や、ルカ・グァダニーノの『サスペリア』(18)など著名監督の作品を多く手がけたインバル・ワインバーグ。イスラエル生まれでニューヨークを拠点に活動していて、アルモドバルとは今回が初のタッグとなる。そして衣装を担当したのは『オール・アバウト・マイ・マザー』『ボルベール 帰郷』(06)の2作品でアルモドバル作品に携わったビナ・ダイヘレル。
さらにアメリカの作家シーグリッド・ヌーネスによる原作小説「ザ・ルーム・ネクスト・ドア」(原題:What Are You Going Through)が早川書房より刊行されることが決定。2025年1月23日より発売開始となる。
アルモドバルのもと、実力派女優と新旧スタッフが作り上げた本作。カラフルな世界観を劇場のスクリーンで堪能してほしい。
文/スズキヒロシ