北村匠海監督デビュー作『世界征服やめた』日常の“光と影”をとらえた場面写真
俳優で、ロックバンド、DISH//のメンバーとしても活躍する北村匠海が初の脚本&監督を務める短編映画『世界征服やめた』の公開日が2025年2月7日(金)に決定。あわせて場面写真が到着した。
本作は、独特なワードセンスとパフォーマンスで注目をあびながら、2011年6⽉23⽇に不慮の事故でこの世を去ったポエトリーラッパーの不可思議/wonderboyによる代表曲「世界征服やめた」に強く影響を受けた北村が、この楽曲からインスパイアされて脚本を書き下ろし、自ら監督を手がけた短編映画。
主人公の彼⽅(萩原利久)は、社会の中で⽣きる内向的な社会⼈。変化の乏しい日常をやり過ごすなかで「自分なんて誰にも必要とされてないのではないか…」と自分の無力さを感じていた。そしてどこか飄々として、それでいて白黒をはっきりさせたがる彼⽅の同僚の星野(藤堂日向)。星野の選んだ決断に彼⽅の⼈⽣は⼤きく揺れ動く。「死」の意味を知る時、明⽇の選択は⾃分でできることを知る。
今回の映画のもとになった楽曲を制作した不可思議/wonderboyは、2009年に彗星のごとく音楽シーンに現れ、2011年には詩人の谷川俊太郎とも共演し、本人許諾で「生きる」を音源化。その勢いのまま待望の1stアルバムを発表したものの、同年6月に24歳の若さで他界した。死後もその楽曲は聴き継がれることになり、今では日本語によるポエトリーリーディングを語るうえで、欠かせないアーティストの1人になっている。
今回の企画を体現する仲間として、監督の北村が声をかけたのは、現象化した「美しい彼」シリーズや「キングダム」シリーズ、映画『ミステリと言う勿れ』(23)といった話題作に次々と出演を続ける萩原。そして「東京リベンジャーズ」シリーズや2025年公開の映画『遺書、公開。』(2025年1月31日公開)などで頭角を表す藤堂。萩原はかつての快活さや気力をいつしか見失ってしまった彼方の哀しみなど、絶望の中で生きる影の存在を類まれなる存在感で演じ切る。藤堂は前半で見せる光の様な存在感から一転、後半ではありったけの痛みを一気に放出する硬軟織り交ぜた熱演を見せている。
このたび解禁されたのは10点の場面写真。いずれのカットもキャストの萩原と藤堂が、演技を通してそれぞれの存在感をぶつけあう生々しい姿が収められている。また監督を務める北村からのオファーを快諾し、友情出演にいたった井浦新の出演シーンのカットも解禁。井浦は本作で、彼方と星野が通う居酒屋の店主を演じている。
映画界を牽引する俳優にして、監督としても大きな1歩を踏みだした北村。彼の鮮烈な監督デビュー作を、スクリーンで目撃してほしい。
文/スズキヒロシ