渡辺一貴監督、映画『ショウタイムセブン』本作に漂う”臨場感”の演出や犯人役の撮影裏話を披露「やっと話せる!」と笑顔
映画『ショウタイムセブン』(2月7日公開)のティーチインイベントが1月15日、アキバシアターにて開催され、渡辺一貴監督、放送作家としても活躍するお笑い芸人、どきどきキャンプの佐藤満春が登壇した。
阿部寛を主演に迎え、2013年製作の韓国映画『テロ,ライブ』を原作にオリジナル要素を盛り込んで映画化した本作はテレビの生放送中に爆破犯との命懸けの交渉に挑むキャスターの姿をリアルタイム進行で描くサスペンス。阿部が演じるのは犯人から交渉役に指名される元人気キャスターの折本眞之輔。現在、ラジオ局に左遷されている折本はこれを番組復帰のチャンスと考え、自信が担当していた生放送中の国民的ニュース番組「ショウタイム7」に乗り込み、自らキャスターを務めて犯人との生中継を強行する。
これまでたくさんの取材を受けてきたが、「言えないことが多かった」と振り返った渡辺監督。この日は作品鑑賞後の観客を前に具体的な内容も踏まえながら話ができるということで、「やっと言えます」と笑顔に。イベントでは未発表の犯人役を演じるキャスト名も飛び交うトークとなった。
劇中ではほぼ声のみの登場となる犯人役だったが、佐藤は「めっちゃいい声!」と思い、声の演技に引き込まれていったとのこと。姿を見せた瞬間の感想は「びっくり!」だったとニヤニヤ。渡辺監督は犯人役について、「1ミリも姿が映っていないけれども、(声が流れる)全現場に来てもらっています。(相手役と)生で会話してもらいました」と制作の様子を明かすと、佐藤は「だからこその臨場感!」と大きく頷いた。ラジオ番組も担当している佐藤は、犯人と阿部演じる折本が電話でやりとりするシーンでは「生放送でリスナーと繋いだ時に『やばい人に繋いじゃったかも』と思うようなミステリアスさが(声に)出ていた。『怖っ!』と思いながらもリアルだと思いました」と演出や犯人役の声の芝居を絶賛し、鳥肌が立つほどすばらしかったとも話していた。
本作に漂う”リアルタイム感”については「一幕ものの舞台でやってみたいというのが取っ掛かりでした」とアイデアのきっかけを説明した渡辺監督は、「GoProを30台くらい置いて、ワンテイクでやっちゃいたいくらいでした」とニヤリ。「生放送番組ならではのリアリティがすごかった」という佐藤の言葉には、「僕は元々NHKの人間なので、通り一遍のことは知っているし、取材もたくさんしました。あとは、スイッチャーやフロアディレクターなど(スタッフを演じる人の半分)にはテレビのバラエティで活躍している本物の方に入ってもらっています。エキストラの方では特殊すぎてあの動きを演出するのは無理。そういう方に要所要所に入ってもらっています」と裏話を披露。この話を聞いた佐藤は「妙なリアリティがあったのは、そういうことだったんですね」と唸っていた。
「映画の中の時間を、一緒に過ごしているような感覚が味わえた」と感想を伝えた佐藤。それを感じさせた演出の一つが時計だったそうで、渡辺監督は「時計は(生放送のスタジオの)どこにでもある。映したくなるから、助監督と一緒に時計の見せ方は緻密に行いました」とのこと。
イベントでは映画を観た直後の観客からの質問コーナーも。犯人役だけでなく折本演じる阿部の声もすごくよかったため、”声のよさ”もキャスティング理由なのかと問われた渡辺監督は「いろいろな作品を改めて観て、阿部さんの声がすごくいいなと思ったのと、キャスター役をやったことがないというのも決め手でした」と回答。多くの観客の心を揺さぶったラストの展開の意図については「僕が言いたいことでもあります」と答えた渡辺監督は「テレビを舞台にしているけれど、観ている側にも責任があるというのを伝えたかったです」とのこと。
トークが終了し、フォトセッションの時間になったところで、どきどきキャンプの相方、岸学がおなじみの「24 -TWENTY FOUR-」シリーズのジャック・バウアーのモノマネで登場。渡辺監督に本作のタイトルを『ショウタイム24』に変更し主演をジャック・バウアー(の日本語吹替のモノマネをする自分)で!とリクエスト。イベントのエンディングを大いに盛り上げた。
取材・文/タナカシノブ