第97回アカデミー賞最多ノミネート『エミリア・ペレス』トランスジェンダー女性として史上初のアカデミー賞主演女優賞ノミネート!
本年度カンヌ国際映画祭において主演女優賞、審査員賞をダブル受賞した映画『エミリア・ペレス』(3月28日公開)が第97回アカデミー賞で12部門、13ノミネートを獲得。カルラ・ソフィア・ガスコンがトランスジェンダー女性として史上初のアカデミー賞主演女優賞にノミネートされた。
本作は、女性として新たに生きることを決意したメキシコ最恐の麻薬王と、彼女との出会いで運命を切り開いていく3人の女性たちの姿を監督のジャック・オーディアールがミュージカル仕立てで描く異色の感動作。本年度カンヌ国際映画祭において主演女優賞と審査員賞をダブル受賞したほか、ヨーロッパ映画賞でも主要5部門を総なめにして、さらにゴールデン・グローブ賞でも最多4部門を受賞するなど、本年度の賞レースを席巻している。
このたび本作が第97回アカデミー賞にて作品賞、監督賞、主演女優賞、助演女優賞、脚色賞、編集賞、撮影賞、メイクアップ&ヘアスタイリング賞、音響賞、作曲賞、歌曲賞(「El Mal」、「Mi Camino」)、国際長編映画賞の12部門13ノミネートをはたし、候補作品のなかで最多ノミネートを獲得。さらに非英語映画として『グリーン・デスティニー』(00)、『ROMA/ローマ』(18)の10部門ノミネートを更新し、非英語映画歴代最多ノミネートという快挙を達成した。
主演はカンヌ国際映画祭において、トランスジェンダーの俳優として初めて女優賞を受賞したガスコン。出演は「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズで広く愛され、本作にてゴールデン・グローブ賞で助演女優賞を初受賞したゾーイ・サルダナに加えて、全米の若者から絶大な人気を誇るセレーナ・ゴメス、国際的に活躍するメキシコ出身のアドリアーナ・パス。第77回カンヌ国際映画祭では、異例の4人でのアンサンブルで女優賞を受賞し、審査員長を務めた『バービー』(23)のグレタ・ガーウィグは「4人はそれぞれが秀でていたが、一緒になると超越していた」と絶賛。
名匠オーディアールが、過去と現在、罪と救済、愛と憎しみといった重厚なテーマをエンタテインメントト大作へと昇華させた本作。現地時間3月2日(日)に行われる第97回アカデミー賞授賞式での結果も要注目だ!
文/スズキヒロシ