キリキリキリ…三池崇史監督『オーディション』のハリウッドリメイクが進行中
三池崇史監督がメガホンをとり、石橋凌と椎名英姫(現:しいなえいひ)が共演したホラー映画『AUDITION オーディション』(99)。その原作となった村上龍のホラー小説「オーディション」の再映画化プロジェクトが、現在フォーカス・フィーチャーズと制作会社ハイド・パークのタッグで進められていることがわかった。「Deadline」が報じている。
1997年に発表された「オーディション」は、妻を亡くした42歳の中年男性の青山重治が、再婚相手を探すために架空の映画を立ち上げ、主演女優を決めるという名目でオーディションを開催。それに参加した24歳の山崎麻美に惹かれ、彼女を再婚相手に選ぶのだが、彼女は心に深い闇を抱えており、青山は思いも寄らぬ恐怖に見舞われることになるというストーリー。
ロッテルダム国際映画祭の国際批評家連盟賞や、チョンジュ国際映画祭の観客賞に輝いた三池監督の『AUDITION オーディション』は、2007年に「TIME」誌が発表した「ホラー映画トップ25」では日本映画から唯一選出され、2010年に「ガーディアン」誌が発表した「史上最高のホラー映画25」では『リング』(98)と共に選出されるなど、発表当時から世界中のホラーファンの熱烈な支持を獲得。
同作をきっかけに、以後は世界各地のファンタスティック系映画祭の常連になるなど、ジャンル映画界の急先鋒として世界的な注目を浴びるようになった三池監督。『極道恐怖大劇場 牛頭』(03)はVシネマ作品として初めてカンヌ国際映画祭に正式出品され、『一命』(11)と『藁の楯』(13)は同映画祭のコンペティション部門に、『スキヤキ・ウエスタン・ジャンゴ』(07)と『十三人の刺客』(10)はヴェネチア国際映画祭のコンペティション部門に選出されるなど、世界三大映画祭でもその名を轟かせている。
「オーディション」の再映画化は、10年以上前に一度本格的な計画の進行が報じられたものの、その時は実現に至らず。今回の報道によれば、以前と同様『氷の微笑』(92)などで知られるマリオ・カサールがプロデューサーを務め、監督として新たに指名されたのは、ブラムハウス製作のもとリメイクされ話題を集めたデンマーク映画『胸騒ぎ』(22)のクリスチャン・タフドルップ監督。タフドルップ監督は弟のマッツ・タフドルップと共同で脚本を務める予定で、契約の締結は目前。
さらに原作者である村上も製作総指揮として名を連ねるとのこと。過去に『だいじょうぶマイ・フレンド』(83)など映画監督として5作品を手掛けたことがある村上は、原作者として以外のかたちで映画作品に携わるのは、キューバ音楽を題材にしたドキュメンタリー映画『ポプラル!』(05) で製作総指揮を務めて以来。日本を代表する傑作ホラーが、どのように生まれ変わるのか。続報に乞うご期待。
文/久保田 和馬