100年前の名作ホラーをロバート・エガース監督が悲願の再映画化!『ノスフェラトゥ』公開決定
『ウィッチ』(15)、『ライトハウス』(19)、『ノースマン 導かれし復讐者』(22)のロバート・エガース監督による最新作『ノスフェラトゥ』が5月16日(金)に公開されることが決定した。
第97回アカデミー賞にて撮影賞、美術賞、衣装デザイン賞、メイクアップ&ヘアスタイリング賞の4部門にノミネートされている本作。エガース監督が幼少期に夢中になった1922年に作られたF・W・ムルナウ監督のサイレント映画『吸血鬼ノスフェラトゥ』に、独自の視点を入れ創り上げた渾身作となっている。映画のタイトルにもなっている「ノスフェラトゥ」とは、吸血鬼の総称として使われており、ムルナウ監督の映画を初めて観た時から、その存在の虜になったという監督は、高校時代に映画の舞台化脚本を友人と共同で執筆し上演。このことがきっかけで映画監督、そしていつか自身の手で映画化したいと憧れるようになった。ハリウッド監督デビュー後、何度も映画化を試みたが叶わず、今回ついに3度目となるチャレンジでついに悲願を叶えることとなった。
撮影に必要な演出のためにキャンドルの明かりが必要となれば適したカメラレンズを使用、スタジオには当時の建物を研究した約60ものセットを組み、本物のねずみ約2000匹を使って撮影をするなど、“本物”にこだわった映像は世界各国でも高い評価を獲得。エガース監督が本作に掛ける執念に近い思いが、リアルな質感としてスクリーンを通し観る者にじわじわと恐怖とともに襲ってくる。
物語は不動産業者のトーマス・ハッターが、自身の城を売却しようとしているオルロック伯爵へ会いに行くところから始まる。トーマスの不在中、彼の新妻エレンは夫の友人宅で過ごすが、ある時から夜になると夢の中に現れる得体のしれない“彼”の幻覚と恐怖感に悩まされるようになる。時を同じくして、夫のトーマス、そしてエレンが滞在する街に様々な災いが起こり始める。
夜な夜な夢の中で、正体の分からない“彼”に怯える主人公エレンを演じるのはジョニー・デップの娘、リリー=ローズ・デップ。デップはオーディションでこの役を掴み取ったが、そのオーディションでは監督が思わず涙するほどの演技だったという。本格的なホラー映画への出演は本作が初となる。また、オルロック伯爵は、「IT/イット」シリーズのペニーワイズ役で世界中を恐怖に陥れたビル・スカルスガルドが演じており、徹底的に作りこんだ演技は“スカルスガルドはハリウッドの新たなホラーの王様”と評されるほど絶賛されている。
そして、アルビン・エーバーハルト・フォン・フランツ教授役に、本作でエガース監督と3度目のタッグとなるウィレム・デフォー。さらに、エレンの夫トーマスをニコラス・ホルト、トーマスの友人フリードリヒをアーロン・テイラー=ジョンソンが演じるなど、豪華な俳優陣が名を連ねている。
正体の見えない“彼”がじわじわと忍び寄る恐ろしさと、リアルを追求した美しさが織りなす至極のゴシック・ロマンスホラー『ノスフェラトゥ』。続報に注目してほしい。
文/平尾嘉浩