宮崎吾朗監督デビュー作『ゲド戦記』が金ローで放送!監督の実体験が反映された劇中のシーンとは?

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宮崎吾朗監督デビュー作『ゲド戦記』が金ローで放送!監督の実体験が反映された劇中のシーンとは?

宮崎吾朗が監督デビューを果たしたスタジオジブリ作品『ゲド戦記』(06)が、3月7日(金)に金曜ロードショーで放送されることが決定した。本編ノーカットでの放送となる。

【画像を見る】心に闇を持ち、国王である父を刺してしまった王子アレンの成長を描く
【画像を見る】心に闇を持ち、国王である父を刺してしまった王子アレンの成長を描く[c] 2006 Ursula K. Le Guin/Keiko Niwa/Studio Ghibli, NDHDMT

2006年に公開され、宮崎監督のデビュー作としても話題を呼んだ本作。原作の「ゲド戦記」は、「指輪物語」、「ナルニア国物語」と並び、世界三大ファンタジー小説と呼ばれる作品。多くの作家や映画監督にも愛されており、宮崎駿も愛読者の一人。映画『風の谷のナウシカ』(84)や、絵物語「シュナの旅」など、自身の作品にも大きな影響を与えたと語っている。

大魔法使いハイタカと出会ったアレンは少しずつ変化していく
大魔法使いハイタカと出会ったアレンは少しずつ変化していく[c] 2006 Ursula K. Le Guin/Keiko Niwa/Studio Ghibli, NDHDMT

物語の舞台は多島海世界“アースシー”。西海域のはてに棲む竜が、突如人間の世界に姿を現す。各地では作物が枯れ、家畜が死んでいくが、それは、世界の均衡が崩れつつあることの表れだった。災いの原因を探る大魔法使いハイタカ(ゲド)は、旅の途中、エンラッドの王子アレンと出会う。父である国王を刺し、国を捨てたアレン。アレンは心に闇を持ち、得体の知れない“影”に追われていました。ハイタカはアレンとともに旅を続けるうちに、災いの背後には、永遠の命を手に入れようと企む魔法使いクモがいることに気づく。

本作の見どころは、王子アレンが、ハイタカとの旅を通して成長していく過程。アレンは父親である国王を刺しているが、なぜそのようなことをしてしまったのか分からない。その後国を捨てたアレンは、ハイタカと生活をし、言葉を交わすことで落ち着きを取り戻していく。そして、心を閉ざした少女テルーとの出会いを通し、アレンは闇を恐れることなく心に光を取り戻していく。

ハイタカの昔なじみのもとで農作業をするアレン。王子という出自ゆえにうまくできず、苦戦する
ハイタカの昔なじみのもとで農作業をするアレン。王子という出自ゆえにうまくできず、苦戦する[c] 2006 Ursula K. Le Guin/Keiko Niwa/Studio Ghibli, NDHDMT

劇中、絶望の淵にいるアレンがハイタカの昔なじみのもとで農作業をするなかで、うまくできず苦労するシーンがある。手にマメができ大変な思いをしながらも、農作業を通してだんだんと元気を取り戻していくアレン。このシーンは、宮崎吾朗監督が「三鷹の森ジブリ美術館」の館長をしていたころに、年下のスタッフと接するなかで、「太陽の下で労働をすれば、みんな悩みが無くなる」というのを実感したことから、取り入れたシーンなんだとか。

心を閉ざした少女テルー。彼女との出会いもまたアレンを変えていく
心を閉ざした少女テルー。彼女との出会いもまたアレンを変えていく[c] 2006 Ursula K. Le Guin/Keiko Niwa/Studio Ghibli, NDHDMT

ほかにも、劇中で流れる「テルーの唄」の歌詞は、萩原朔太郎の詩「こころ」に着想を得て作詞された。この映画に出てくる登場人物はみな孤独であり、そんなこの映画の気分が、詩「こころ」に書かれていたからだという。完成した歌詞には「いろんな人になにかを分けたり、もらったりしていくことが、生きていくことだ」という監督の強い想いが込められているそう。込められた願い通り、アレンも旅路で誰かに助けられたり、誰かの役に立ったりしながら成長していく。「テルーの唄」はテルーのキャラクター像を浮かび上がらせながら、アレンや物語全体に大きな影響を及ぼすものに仕上がっている。


声優として、岡田准一、手嶌葵、菅原文太らが出演する『ゲド戦記』。スタジオジブリが贈る壮大なファンタジー作品をテレビで堪能しよう!

文/サンクレイオ翼

※宮崎駿の「崎」は「たつさき」が正式表記

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