『BETTER MAN/ベター・マン』リージェント・ストリートで撮影された「Rock DJ」の圧巻パフォーマンスシーン初解禁!
第97回アカデミー賞視覚効果賞ノミネート、第14回オーストラリア・アカデミー賞主要含む9部門授賞など世界中の賞レースを席巻している映画『BETTER MAN/ベター・マン』(3月28日公開)。このたびリージェント・ストリートを封鎖して大規模な撮影が敢行された「Rock DJ」のパフォーマンスの本編映像が初解禁された。
『グレイテスト・ショーマン』(17)で世界中を感動させたマイケル・グレイシーが、最新作で主人公に選んだのは、イギリス音楽界において史上最高の売り上げ記録を維持する”スーパー”ポップスターのロビー・ウィリアムス。1990年にボーイズグループ「テイク・ザット」のメンバーとしてデビューし、その後ソロアーティストとして世界的な成功を収めたウィリアムスの波乱に満ちた人生を、観る者を夢中にする斬新な映像表現で、せつなくもダイナミックに描き切る。
アカデミー賞の前哨戦ともいえる第82回ゴールデン・グローブ賞にて、本作の楽曲「Forbidden Road」(Robbie Williams, Freddy Wexler & Sacha Skarbek)が最優秀主題歌賞にノミネートされた。ウィリアムスの地元であるイギリスでは、本作のサウンドトラックがUKアルバムチャートで1位を獲得。これにより、ウィリアムスは通算15作目の首位となり、歴代1位のビートルズの記録に並ぶ大快挙を達成した。さらに、第97回アカデミー賞ノミネーションでは、昨年、日本映画『ゴジラ-1.0』(23)が受賞したことで注目を集めた視覚効果賞にもノミネート。映画を彩る楽曲はもちろん、主人公の姿やダンスシーン、ライブシーンにおいて、観客がまるで彼と同じ空間にいるかのような没入感を味わえるファンタスティカルな体感型視覚効果が世界中から注目を集めている。
今回解禁されたのは、作中で最大の見せ場の1つである、ロンドンを代表する高級ショッピングストリート、リージェント・ストリートで撮影された「Rock DJ」の歌唱シーン。ウィリアムスをセンターに据え、テイク・ザットのメンバー4人とともに、早着替えやアクロバットを交えながら街中を縦横無尽にパフォーマンスする様子は、そのダイナミックなカメラワークにより多くの人を熱狂させた『グレイテスト・ショーマン』をも彷彿とさせる。
イギリス王室の関連資産のため、撮影許可を得ることが極めて難しいことでも知られるリージェント・ストリートでの撮影について、グレイシー監督は「リージェント・ストリートを封鎖して、500人の観客に踊ってもらったのは、私の人生でも最高の瞬間でした。夜中の3時にもかかわらず、みんなの喜びがはっきりと伝わってきましたし、それをカメラで捉えることができたと信じています。テイクの合間にも笑い声が広がり、エネルギーが伝わり、これは非常に特別なことだと感じたのです。あそこに参加した全員がそれを感じたはずです」と振り返る。
実は撮影にかなりの苦労と月日を費やしており、撮影予定の夜に女王が崩御し延期に。10日間の喪の後、葬儀や戴冠式を経て、再びリージェント・ストリートで撮影するための資金を集めるのに5か月を要したが、それでも、無名の少年たちが通りで人々に追いかけられる存在へと変わるこのシーンは、作品にとって欠かせないものだったため、苦難を経て撮影に至った。
また、劇中、ウィリアムスのテイク・ザット所属時代に登場するこの「Rock DJ」は、実際にはウィリアムスが本グループを脱退してから数年後に作られた彼のソロ名義の楽曲だ。監督は「この曲では自分をロックスターだと空想するロブの頭のなかを映しだすのがポイントでした。『Rock DJ』は、歌詞の面でもこの瞬間に完璧にマッチしていたのです」と敢えて時系列の異なる本楽曲を起用した理由を明かす。
ウィリアムスは「振り付けを見ていたら、まるでこのために書かれた曲のように感じました。最初に『Rock DJ』を書いたときはサビだけで、歌詞もついていないし、なにをどう伝えれば良いかも決めていませんでした。いまではそれが僕自身やほかの多くの人たちにとって意味のある言葉になりましたが、当時は単なる寄せ集めでした。しかしこれが映画となると、完全に意味のある言葉になるのです。僕の歌という感じがまったくしなくて、本作のためだけに書かれた曲のように感じましたね」と語る。
時系列にとらわれず効果的に楽曲が起用される本作で、それぞれのシーンで監督が起用した楽曲にどのような想いが込められてるのか?その演出手腕にも注目していただきたい。
文/山崎伸子