井浦新「瑛太の顔を見てたら首を絞めたくなった」衝撃の撮影エピソードを明かす!
「まほろ駅前」シリーズで知られる直木賞作家・三浦しおんの同名小説を、同シリーズに続いて大森立嗣監督が映画化した『光』の公開記念舞台挨拶が11月26日、東京・新宿武蔵野館で開催。井浦新、瑛太、長谷川京子、橋本マナミ、大森監督が登壇した。
本作は、過去を背負った3人の男女を中心に、人間の暴力性と狂気をまざまざと描き出すヒューマンドラマ。離島に暮らしていた3人の少年少女。恋人である美花を守るために殺人を犯す信之、そしてそれを目撃した輔。その後、島は大津波にのまれ消失。それから25年が経ち、都会で暮らす信之の前に、突然にも輔が現れる。
主人公の信之を演じた井浦は「ホッとしてます」と、ついに公開を迎えたことに対しての想いを吐露し「劇中にも登場する、岡本太郎さんの言葉を借りると『この映画はべらぼうな映画だな』と思います」と、その出来栄えへの自信をあらわにした。
そんな信之を慕う輔を演じた瑛太は、この秋『リングサイド・ストーリー』と『ミックス。』が公開されるなど、出演映画が相次いだ。本作で公開ラッシュがひと段落したことに「私事ですが“登頂”できたなという気持ちでいます」と胸を撫でおろすと、井浦からは「おめでとうございます」と温かい言葉をかけられた。
大森監督の挑戦的な作風が強く映し出された本作について「衝撃が強くてどう受け止めていいのかわからない。あと何回か観ないと気持ちの整理ができない」と語る長谷川に、橋本も「ちょっと理解し難い部分が多くて、考えるからこそ、いろんな捉え方ができる作品」と語る。すると大森は「人間が生きていくことの圧倒的な肯定として映画を作っている。とにかく感じてほしい」と本作に込めた意図を明かした。
本作で注目されているのは、何と言っても井浦と瑛太の初共演。2人の共演シーンは、どれもが狂気に満ち、愛に溢れており、鮮烈な印象を観客に植え付けていく。2人が取っ組み合いをする場面では、井浦が思い浮かんだ演出が反映されているようで、大森に「(瑛太の)顔を観てたら首絞めたくなったんですけどいいですか?」と訊ねたことを明かした井浦。それに対して大森は、少し困りながらも「好きなようにやれ!」とGOサインを出したというエピソードが語られた。
「瑛太くんも感じたままにやってくれたから成立できた。僕自身も本能のままに芝居させてもらえることが嬉しくて、遊んでいる感覚でやらせてもらった」と、緊迫したシーンの裏側には、役柄に入り込むことでしか生まれない、瞬間の演技があったことを明かす井浦。
一方で瑛太は「大好きで尊敬している」と井浦への敬意を表明し「すべて受け入れられるし、すべてぶつかっていける。ある意味では、心中する気分でした」と明かした。そして「全身全霊で、お芝居を通していっぱい遊んじゃったという気分になりました」と、井浦との初共演を振り返った。
取材・文/久保田和馬