華やかな授賞式にキーラ・ナイトレイらがズラリ!イブニング・スタンダード・シアター・アワードが発表
シェイクピアの国イギリスでは“舞台を踏んでこそ一流の俳優”という不文律のようなものがある。ハリウッド大作で主演を務める人気俳優から無名駆け出しの新人まで、演技に磨きをかけるのがロンドンの舞台だ。
そしてロンドン演劇界の1年を振り返り、活躍した俳優に賞を与えるイブニング・スタンダード・シアター・アワードの2017年度受賞者が発表となり、華やかな授賞式が行われた。
男優賞に選ばれたのは、いま最高に乗っているアンドリュー・ガーフィールド。ナショナル・シアターで上演された「エンジェルズ・イン・アメリカ」での演技が高く評価された。これはエイズを宣告された男性の心境を描くドラマで、2部構成8時間による大作。毎日の舞台はスタミナとの闘いでもあったそう。残念ながら受賞を逃した候補者の1人は、人気ドラマ「シャーロック」で悪役モリアーティ教授を演じるアンドリュー・スコットだ。こちらは「ハムレット」でのノミネートだった。
女優賞に選ばれたのはベテラン81歳のグレンダ・ジャクソン。『恋する女たち』と『ウィークエンド・ラブ』でアカデミー主演女優賞を受賞後、国会議員を23年務めたキャリアの持ち主。シェイクスピア劇「リア王」で演劇業界へのカムバックを果たした。
また作品賞に輝いたのは「ザ・フェリーマン」。80年代が舞台で、改心した元IRAテロリストをパディ・コンシダインが演じ、演出はサム・メンデスが務めた。『アメリカン・ビューティー』や007映画で知られるメンデスだが、そもそもは舞台出身であり、彼の才能が一番の輝きを見せるのは舞台だと評価されている。
新人賞に選ばれたのは、これまた「ザ・フェリーマン」に出演したトム・グリン=カーニー。『ダンケルク』にも出演したトムの演技は、凶悪な男の心理を見事に演じており、並外れたすばらしさと絶賛された。
授賞式は、女優のケイト・ブランシェット、米ヴォーグ誌の編集長であり『プラダを着た悪魔』のモデルともなったアナ・ウィンターがホストを務めた。
LONDON在住/高野裕子