今年度のゴールデングローブ賞のノミネート、女性監督が皆無で騒然!
映画業界で女性たちが勢いを見せる中、米国時間12月11日に発表されたゴールデングローブ賞監督賞のノミネートに名を連ねたのは白人男性の監督ばかりだった。「女性の監督を排除した」とバラエティやガーディアンなどのメディアに取り上げられている。
今までは女性監督のノミネート率が低いのはハリウッドの就業格差が要因であり、単にその実情がノミネートに反映されただけだと解釈されていた。確かに2016年に公開された上位250本の映画のうち、女性監督の作品はたったの7%だった。
しかし今年は、米国で観客のみならず評論家達からも絶賛されている『レディ・バード(原題)』のグレタ・ガーウィグ、世界興行収入800億円を突破したメガヒット作『ワンダーウーマン』を手がけたパティ・ジェンキンス、『マッドバウンド 哀しき友情』で注目された黒人女性監督のディー・リース、『デトロイト』のキャスリン・ビグローや『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』のソフィア・コッポラら、これだけの話題作の中から女性監督が1名も選出されなかったのは偶然とは言いがたい。
ノミネートの栄誉を勝ち取ったのは、ギレルモ・デル・トロ(『シェイプ・オブ・ウォーター』)、マーティン・マクドナー(『スリー・ビルボード』)、クリストファー・ノーラン(『ダンケルク』)、リドリー・スコット(『オール・ザ・マネー・イン・ザ・ワールド(原題)』、スティーヴン・スピルバーグ(『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』)の5名で、全員が男性だ。
事実、過去20年間でゴールデングローブ賞の監督賞にノミネートされた女性はたった3名のみで、アカデミー賞監督賞は2010年に『ハート・ロッカー』でキャスリン・ビグローが史上初の女性受賞者として歴史を塗り替えた事に留まっている。
ハーヴェイ・ワインスタインのセクハラ・スキャンダルなど、ハリウッドで平等な権利を求めるために声をあげる女性は増えている。しかし、ハリウッド全体に存在する女性や人種に対する潜在的な差別や不平等な扱いに関しては、まだまだ改善への道のりは長いのかもしれない。
LA在住/小池かおる