大ハマり!映画『ソラニン』の絶妙キャスティング
『NANA』や『ハチミツとクローバー』など、コミック出身の作品が映画になるときに、まず気になるのは、そのキャスティング。浅野いにお原作の同名コミックを映画化した『ソラニン』(4月3日公開)は、主演の宮崎あおいも「みんなキャラクターと顔が似てる」と言うほど、かなりソックリだ!
宮崎あおいが扮するのは、普通のOLとして働く芽衣子。宮崎は、芽衣子の普通っぽさを残しながら、透明感の中にも揺るぎのない凛とした強さを感じさせる演技で、芽衣子をよりリアルな現代女性として見事に演じている。宮崎は本作で歌とギターに初挑戦。クライマックスを飾るライブ演奏は必見だ!
芽衣子の同棲中の恋人・種田に扮する高良健吾は、『フィッシュストーリー』、『BANDAGE バンデイジ』と出演作の続く売れっ子俳優。役柄が持つ個性を最大限に生かす器用さで、夢を抱きながら葛藤する繊細な青年・種田を演じている。
実家の薬局を継ぎながらも、ハードロックなポリシーを守っているビリー役には、ドラムをリアルに叩ける力とアツイ情熱、そしてユーモアのセンスを持った俳優が必要だった。演じる桐谷健太はまさに適役! シュールかつコミカルな熱演でクスりと笑わせる。
伊藤歩が演じる芽衣子の親友・アイは、コミックと比べて違うのは髪の長さだけ。安定感のある落ち着いた存在感で、不安だらけの仲間たちをしっかりと引き締める。
そして、原作者の浅野いにおの「加藤の体型が原作に忠実であること」という希望を叶えたのは、サンボマスターのベース・近藤洋一だ。プロのミュージシャンである近藤にとって、初の演技となった本作だが、人柄が体ににじみ出ている加藤の魅力を体ごと表現している。
公開まであと1か月を切った『ソラニン』。まるで、コミックからそのまま抜け出して来たかのようなキャラクターと、原作の空気感を忠実に映像化した本作は、多くのファンを満足させるだろう。【Movie Walker】