『キャロル』の監督が手掛けるファンタジックな世界観に、デヴィッド・ボウイの名曲が響きわたる!
『ヒューゴの不思議な発明』(11)の原作者ブライアン・セルズニックのベストセラー小説を、『キャロル』(15)で絶賛を浴びたトッド・ヘインズ監督が映画化した『ワンダーストラック』が4月6日(金)から公開される。本作は1977年と1927年、それぞれの時代を生きる子どもたちの旅を描きだし、2つの物語が50年の時を経て交錯していくファンタジックなヒューマンドラマだ。
母親を亡くし、父を探しにニューヨークに1人でやってくる少年ベン役には『ピートと秘密の友達』(16)のオークス・フェグリー。憧れの女優に会うためにニューヨークへ向かう聴覚障害を持つ少女ローズを、自身も聴覚障害を持ち、これが映画初出演となるミリセント・シモンズが演じる。
将来性の高い彼ら2人の脇を固めるのは、これがヘインズと4度目のタッグとなるジュリアン・ムーアと、2度目のタッグとなるミシェル・ウィリアムズ。ヘインズの代表作『エデンより彼方に』(02) でヴェネチア国際映画祭女優賞を受賞したことを皮切りに、三大映画祭とアカデミー賞のすべてで女優賞を獲得して歴史に名を刻んだムーアが、主人公2人を繋ぐ重要な役どころを演じている。
このたび解禁された予告編は、2つの時代をカラーと白黒で描き分けるというアイデアによって生みだされた、ノスタルジックな雰囲気が堪能できる仕上がりに。それぞれの時代のニューヨークの光景に、物語の鍵を握る1冊の本。そして、なかなか撮影許可が下りないと言われているアメリカ自然史博物館とクィーンズ美術館を舞台にしたシーンが登場。
観るものの想像力を刺激する美しい映像を彩るのは、一昨年亡くなった世界的アーティスト、デヴィッド・ボウイの名曲「スペイス・オディティ」。近年様々な映画で使われてきた約半世紀前の楽曲が、半世紀の時代を隔てた2人の運命を結びつけるかのように響きわたる。
深いテーマ性を持ったヒューマンドラマと、独特な映像表現で多くの映画ファンを魅了してきたトッド・ヘインズの新たな世界観を、スクリーンで味わってほしい。また3月には本作の公開を記念し、ヘインズが約20年ぶりに来日することも決定している。
文/久保田和馬