宮本信子、おかっぱ頭の“マルサの女”スタイルで登場!「伊丹映画はちゃんと残っています」

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宮本信子、おかっぱ頭の“マルサの女”スタイルで登場!「伊丹映画はちゃんと残っています」

2月4日(日)をもって閉館する東京・TOHOシネマズ日劇の歴史を彩った名作を上映するフィナーレイベント「さよなら日劇ラストショウ」が開催中。1月28日には伊丹十三監督作『マルサの女』(87)に主演した宮本信子がおかっぱ頭で登場。劇中で演じたヒロイン・板倉亮子そのままの姿に上映後の会場からは「ブラボー!」との万雷の拍手がわき起こり、宮本が笑顔を弾けさせた。

国税局査察部(マルサ)に勤める女性が、ラブホテル経営者を脱税で摘発するまでを描く本作。1997年に亡くなった伊丹監督の代表作で、おぱっか頭に寝癖、そばかす姿のヒロイン・亮子のビジュアルも鮮烈な印象を残したが、宮本は「大きなスクリーンで板倉亮子を見るのもこれが最後だと思う。特別にこのスタイルで来ました。ただし、そばかすと寝癖はつけておりません!」と挨拶。会場を盛り上げた。

日本映画を代表するヒロインとなった板倉亮子だが、宮本は「これまでの映画のヒロインは、静かで控えめで、というヒロインがほとんど。男社会のなかで一生懸命に仕事をしている女を伊丹監督は描きたかった。シングルマザーだとわかるシーンがありますが、あのシーンがとても大事」と夫でもある伊丹監督の思いを代弁。「30年経っていまやそういう女性が当たり前ですが、これがこういったヒロイン像の最初だと思います」と語った。

「津川(雅彦)さんを後ろに乗せて公道を走らなくちゃいけなかった」というように、劇中では亮子がバイクに乗るシーンもあるが、伊丹監督からは「中型の免許を取ってください」と言われたそう。宮本は「40歳過ぎて、暑い夏に教習所に通った。日焼けをしちゃいけなから、顔を真っ白に塗って!」と若者に混じって奮闘したことを振り返り、「取りました!最高齢で最短距離で合格したんです」と楽しそうに明かしていた。

愛媛県松山市にある伊丹十三記念館の館長でもある宮本だが、受付にいると「伊丹さんが生きていらしたら、どんな映画を作るでしょうね。観られなくて残念です」と声をかけられることも多いそう。宮本は「伊丹映画はちゃんと残っています。ぜひまたご覧になってくださいと言っています」と伊丹作品への愛情たっぷりに語り、会場から大きな拍手を浴びていた。

85年の長きにわたりたくさんの映画ファンに愛された映画館、TOHOシネマズ日劇のフィナーレを飾る特別上映イベント「さよなら日劇ラストショウ」は閉館日の2月4日(日)まで開催中。“日劇スピリット”は3月29日(木)開業のTOHOシネマズ日比谷に受け継がれる。

取材・文/成田 おり枝

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