話題沸騰!ドラマ「ハンドメイズ・テイル」5つの注目ポイントとは?
日本でも今年2月28日にHuluで配信が開始された話題のドラマ「ハンドメイズ・テイル/侍女の物語」。物語の舞台は環境汚染によって少子化が深刻化した宗教主義国ギレアド共和国で、子作りのために上層階級の司令官に仕える性奴隷の侍女オブフレッドの人生を描いている。
1985年に発表されたマーガレット・アトウッドの小説「侍女の物語」がベースになっており、2017年のエミー賞と、2018年のゴールデン・グローブ賞でドラマ部門の作品賞を獲得し、観客のみならず評論家からも高い評価を受ける作品だ。
ユートピア(理想郷)の対義である“ディストピア”というジャンルの作品で、一歩間違えれば現実にも起こりえる暗黒の世界を描いている。そんな「ハンドメイズ・テイル/侍女の物語」の注目点5つをご紹介しよう。
①ドラマの焦点は“ジェンダー”(性差)
原作「侍女の物語」では、男女差別と人種差別が悪化した世界が描かれており、有色人種は隔離された地域に強制収容されてしまったという設定だ。そのためキャラクターはほぼ全員白人で構成されている。しかし「ハンドメイズ・テイル/侍女の物語」のクリエイターであるブルース・ミラーは、ドラマを全員白人キャストで構成する事に抵抗があったそうだ。
結果、オリジナルでは白人の設定だったモイラや、オブフレッドの夫ルークも黒人キャストが起用されている。ドラマは性に関する固定観念や、宗教に基づく極端な性差別に焦点をあてている。多人種のキャストでドラマを構成する事で、観客にとってもより現実味のある世界観が創りだせているように感じる。
②原作には無かった、現代を匂わせるキーワード
ドラマは2017年のアメリカを舞台にしている。ストーリーに現実味を持たせるために、ブルースは作中に現代の言葉を散りばめている。例えば、米国で一般的に使われているオンラインのコミュニティサイト「Craigslist(クレイグスリスト)」や、配車アプリの「Uber(ウーバー)」、更には出会い系アプリの「ティンダー(Tinder)」に関しても台詞の中で言及がある。
ブルースは「作品の舞台が現代であると観客に感じさせる事によって、より恐怖感が増すと思った」とコメントしており、ドラマを字幕で観ればクリエイターが意図したそんなキーワードに気づく事が出来るかもしれない。
③ハンドメイドたちの耳に付いている赤い器具
ギレアドの勢力がアメリカを制覇するまでは、普通の現代女性として生きていたハンドメイドたち。子どもを産む能力のためだけに上層階級に仕える彼女達が、万が一脱走しないように装着されたのが、小型のGPSトラッカーである赤い器具だ。これも原作には登場しないが、2017年という設定を感じさせるためのクリエイターの演出のひとつだ。
④司令官の妻、セリーナ・ジョイの原作との違い
原作では、オブフレッドが仕えるウォーターフォード司令官の妻セリーナは、リウマチに苦しみ、杖をつく元テレビ宣教師の女性として描かれている。はっきりとした年齢は明かされていないが、オブフレッドより年上の印象をうける。
一方でドラマ版は、35歳の女優イヴォンヌ・ストラホフスキーが、若くして不妊症に苦しむ妻セリーナを演じている。オブフレッドとセリーナを同世代にする事で、2人の間の敵対心や緊迫感をより強めている。女優イヴォンヌ・ストラホフスキーは「CHUCK/チャック」の美人CIAエージェント、サラ・ウォーカー役として顔を覚えている人も多いのではないだろうか。
⑤第1話〜第3話を監督した、女性監督リード・モラーノ
英語圏ではドラマの継続を左右するほど重要な、シーズン1の最初の3つのエピソードを手掛けた女性監督リード・モラーノは、実はシネマトグラファー(撮影監督)でもある。シネマトグラファーは、照明、カメラ、レンズの選び方など撮影技術に関して統括して指示を出す、とても重要な仕事だ。
最近だと、ビヨンセの話題曲「レモネード」のPVの撮影監督をつとめたのも実は彼女で、数少ない女性のシネマトグラファーとして成功を収め、さらには監督としても才能を光らせる彼女の、今後のキャリアにも注目だ。
LA在住/小池かおる