ファー・イースト映画祭開幕!イタリアのウーディネがアジア一色に
毎年のように、この時期、にわかにウーディネの町が活気づく。それが“ファー・イースト・フィルム・フェスティバル”。イタリアで行われる東洋の映画に特化した映画祭だ。ヨーロッパの多くのアジア映画ファンたちが各地から詰めかける。
今年は日本、韓国、中国、フィリピンなど計9カ国のアジア諸国が参加。4月23日(現地時間)のチャン・ツィイー主演『ソフィーの復讐』(中国)を皮切りに、5月1日までの9日間、60作品以上が上映され、イタリア北東の小さな町はアジア一色に染まる。この期間中、日本の映画を中心に現地からのレポートをお届けしたい。
さて、その前に少しウーディネの町の紹介をしておこう。
ウーディネはイタリアの一番北東に位置するフリウリ・ヴェネチア・ジューリア州にある町だ。州はスロベニア、オーストリアとの国境に隣接し、ワインの産地、また毎年6月末にハムの祭典が開かれるサン・ダニエレのプロシュート、数多くの中世の城が存在することなどで知られている。ヨーロッパの東西とイタリアと北ヨーロッパ諸国を結ぶ要所となっており、また美しい山々に囲まれ、南にはアドリア海の海岸線が広がる自然に恵まれた州だ。
そのなかでウーディネは約10万人が住む小さな町だ。大学の町としても知られ、様々な場所から若者が集う。サッカー好きの人には、セリエAのサッカーチーム、ウディネーゼの本拠地と言った方が馴染みがあるかもしれない。たくさんの文化イベントや展覧会、コンサートが開かれる活気のある町でもある。町の中心・リベルタ広場にはいつもウーディネの若者(=ウディネーゼ)たちが集まり賑やかだ。
今回、映画祭のメイン会場の役割を果たすテアトロ・ヌオーヴォ・ジョバンニ(=新ジョバンニ劇場)は、ウーディネ最大の劇場で、1997年に建てられ、1200人を収容する。普段はここでは様々なコンサートやショーが上演される。劇場はとても近代的ですばらしい建物だが、ひとつだけ問題があるとしたら、その席の狭さだとか。「劇場内の肘かけ椅子はびっしりと詰め込まれていて、大きな人や僕のように背の高い人には居心地が良くないのが唯一の難点なんだ」と20代の男性が語ってくれた。
もう1カ所、第二会場として映画の上映が行われることになっているヴィズィオナーリオシネマも、複数のホールを有する施設で、1階にはバールも完備している。
今回の邦画招待作品はコンペティション部門への出品が決定している『誘拐ラプソディ』(現在日本でも公開中)をはじめ、『昆虫探偵ヨシダヨシミ』『ゴールデンスランバー』など9作品。昨年は『おくりびと』が“AUDIENCE AWARD(=観客賞)”1位を獲得している。
遠い西の国で行われる“ファー・イースト・フィルム・フェスティバル”からますます目が離せない。【現地取材:Marco Sottile / 翻訳・編集:真野香理】