戦場をリアルに体感!3Dのような『グリーン・ゾーン』のカメラワーク

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戦場をリアルに体感!3Dのような『グリーン・ゾーン』のカメラワーク

映画が開始すると、すぐに観客は戦場に送り込まれる。うろたえる暇もなく、部隊は大量破壊兵器を探す任務を遂行していく。マット・デイモン主演の『グリーン・ゾーン』(5月14日公開)は、緊迫した戦場の臨場感を否応なく体感できるアクション・サスペンスだ。ハンディカメラによって撮影された映像は、まるで3Dのような迫力とリアリティーにあふれている。

『グリーン・ゾーン』の舞台は、イラクの首都バグダード。グリーン・ゾーンとは、米軍が駐留する街の中心部で、いわば唯一の安全地帯。だが実際は、グリーン・ゾーン内には恐ろしい計画と複雑に絡み合った謎が混在する。その中でデイモン扮する主人公の米陸軍ミラー准尉は、命懸けで巨大な陰謀に立ち向かっていく。

メガホンをとったのは、『ボーン・スプレマシー』(04)、『ボーン・アルティメイタム』(07)のポール・グリーングラス。9.11でテロに乗っ取られた飛行機内を描いた『ユナイテッド93』(06)で一躍注目された彼は、過去に国際紛争を取材するジャーナリストとして活躍した経験も持つ。「映画は、ニュースにはできない形で観る者を現場に連れて行ってくれる」と語るグリーングラス。数々の戦場を体験してきた彼にとって、映画は、その思いを人々にダイレクトに届けられるもっとも適した手法なのだ。

グリーングラスとのタッグが3度目となったデイモンは、監督について「カメラでリアルなものを捉えるためなら頑として譲らない。ポールは観客にも映画の中の人物と一緒に、真実や緊張感を味わってほしいと思っているんだ」とコメント。監督に絶大の信頼を寄せるデイモンは、本作で激しいアクションに果敢に挑んでいる。

「この映画は、あくまでイラクを舞台にしたサスペンス。サスペンスは、モラルが厳しく問われる極限状態で最大限の効果を発揮する」と監督が話すように、映画はあくまでフィクションであり、114分というなかでドラマティックなストーリーが展開される。だが、本作のカメラワークが観客に与える戦場のリアルは、フィクションの先にあるノンフィクションを大いに感じさせる。その迫力ある本物の映像を劇場で体感してほしい。【文/鈴木菜保美】

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