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「すべてのアクションが戦い」シリーズを熟知した監督が明かす“生のリアリティ”

インタビュー

「すべてのアクションが戦い」シリーズを熟知した監督が明かす“生のリアリティ”

トム・クルーズがノースタントで過激なアクションに挑むことで毎回大きな話題を集める人気スパイアクションシリーズの最新作『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』(公開中)。シリーズで初めて2作連続でメガホンをとったクリストファー・マッカリー監督に話を聞くと「ファンは毎回違う監督が撮ることを楽しみにしている。だからこそ、2度目をやるにあたって僕は完全に違う監督として戻ってきたかったんだ」と、大役を任された心情を明かす。

マッカリー監督は『ユージュアル・サスペクツ』(95)でアカデミー賞を受賞した脚本家としても知られている
マッカリー監督は『ユージュアル・サスペクツ』(95)でアカデミー賞を受賞した脚本家としても知られている

先日行われた来日記者会見やジャパンプレミアでは「(シリーズ前作の)『ローグ・ネイション』を終えたあと、次にやる監督が気の毒だと思っていた」と語っていたマッカリー監督。「まさか6作目を自分がやるなんて本当に予想していなかったんだ。前作の撮影をしている間は、できるだけ早く撮影を終わらせて逃げたいと思っていたぐらいだよ(笑)」と、20年以上続く、稀代の人気シリーズを手がけることのプレッシャーや、キャスト本人が命がけでアクションに挑む本作ならではの苦労を冗談めいて語った。

全米では公開前に批評家からの絶賛評が並び、7月27日に公開を迎えると週末3日間の興行成績でシリーズ新記録を樹立した本作。約2時間30分の間に、1本の映画とは思えないほどのアクションシーンが盛り込まれているのが最大の魅力だ。

「すべてのアクションがチャレンジであり、戦いでもあった」と語るマッカリー監督は、ヘリコプターアクションやヘイロージャンプ、さらに限られた時間のなかで行われたパリのシーンなど撮影の大変さを振り返り「その後、ロンドンのシーンを撮ったんだ。トムが走るだけだったから、一番楽だと思っていたのだけど、その初日にトムが骨折してしまってね…」。

【写真を見る】あのトム・クルーズが骨折した、究極のアクションシーン!
【写真を見る】あのトム・クルーズが骨折した、究極のアクションシーン![c]2018 Paramount Pictures. All rights reserved.

ビルからビルへとジャンプするシーンで、トムが骨折をしてしまったことが昨夏、大きな話題となった。それによって撮影は一時的にストップせざるを得なくなり、マッカリー監督はその期間に本作の脚本の“執筆”を進めていたとのこと。『ユージュアル・サスペクツ』(95)でアカデミー賞を受賞した、ハリウッドを代表する脚本家の1人でもあるマッカリー監督。映画の脚本は撮影が始まる前に完成し、撮影の中で徐々に加筆修正を施していくイメージがあるが、本作に臨むうえでは、あえて脚本を形にしていなかったのだという。

「前作を監督した時に気が付いたのは、スタッフにとって重要なのは撮影に必要な最低限の情報だけで、具体的なストーリーやセリフは知らなくても大丈夫だということ。頭のなかでは物語の大筋を決めていたけれど、具体的になにが起こるかは現場に行ってから決めたんだ」と明かす。そのようなチャレンジングな撮影方法を編みだした理由として「トムの骨折で大幅にスケジュールが変わってしまったことや、雪が降る前に撮影を終わらせる必要のあったノルウェーの崖のシーンのように、とにかく現場の状態はいろんなことで変わってしまうからね」と、作品にかかわる様々な要素が持つ“生のリアリティ”を作品に還元させていることをうかがわせた。

「ミッション:インポッシブル」初の2作連続監督!クリストファー・マッカリー監督を直撃
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「でもこういうことは、第4作の『ゴースト・プロトコル』に脚本家としてかかわって、前作の『ローグ・ネイション』を監督していたからできたことだと思う。そうじゃなければノイローゼになるぐらい大変だったんだよ」と陽気に笑い飛ばす。最後に「これだけ評判が良いから、今度こそ次を監督する人は大変だと思うな」と微笑んだ彼は、トムから直々に次作の監督をオファーされていることを教えてくれた。

取材・文/久保田 和馬

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