Aチームのジョン・カーナハン監督「この映画はハンニバルで始まりハンニバルで終わる」
1983年から全米で放送されるや絶大な支持を集め、日本でも熱狂的なファンを獲得した「特攻野郎Aチーム」。初の劇場版となった『特攻野郎Aチーム THE MOIVE』(公開中)のプロモーションで来日したジョー・カーナハン監督にインタビューした。
――80年代の伝説的なテレビシリーズの映画化ということでプレッシャーはありましたか?
「プレッシャーは感じませんでした。唯一感じたプレッシャーは、公開日までに間に合うかなっていうこと(笑)。時間的余裕がまったくなかったんです。昨年9月に撮影に入って、(今年の)6月公開というのが決まっていたので。それって、このレベルの作品だと大変短い。だからそれが一番プレッシャーで大変なことでした」
――監督のアクション映画には定評がありますが、これまで手がけた作品と比べ、苦労した点、またやりやすかった点などはありますか?
「正直、ほとんどこれまでの映画の場合、CGを敬遠していました。やはりリアルさに欠けると考えていたので。しかし今回はアクションシーンにかなりのCGを使わなければいけないということで、それは僕にとって新しい経験ではありました。時間的な制約もあったので。タンクシーンは自分でCG部分もコントロールできたので、落下シーンはそんなに苦労しなかったんですけど、クライマックスのコンテナがどんどん落ちてくるシーンは大変でした。製作時間が最も少ないなかでCGを作らなければいけないシーンだったので本当に苦労しました。なので僕としてはアクションシーンは、やはり実際の車を使ったり、実際の物を使って撮影したいなって気持ちがあります。しかし友人でカール・リンシュ(Carl Erik Rinsch)という映画監督がいるんですが、彼が最近撮ったショートフィルムで“The Gift(原題)”という作品があります。この中のアクションシーンは車から何からすべて100%、CGなんです。とてもできがよくて。彼らはとても経験豊富で、CGのことを知っているのでできたんだと思いますが、僕もできないことはないんだなと実感しています」
――今回の主役メンバーの中で監督が特に気に入ってるキャラクターはいますか? また、その理由も教えてください。
「子供の頃はやはりマードックが一番好きでしたね。彼を羨ましいと思ったのは、彼がクレイジーを装えば、結構なんでも許されちゃったり、周りの人が手を出せなかったりするんです。だから僕も子供の頃にそれを試したんですけど、うまくいきませんでした(笑)。今回、脚本を自分で書いたので、その中で1人を選ぶのは難しいんですが、どうしても選ばなければいけないとしたらやはりハンニバルだと思います。この映画はハンニバルに始まってハンニバルに終わっていますし、彼がこの映画のリーダーです。ブリーダーと言っても過言ではないと思います」
――登場人物たちの中で紅一点のジェシカ・ビールの存在が光っていたように思いましたが、彼女についての感想を聞かせてください。
「彼女はこの映画の中では不可欠だと思っています。彼女は本当にいとも簡単に演技をしている。それは大変なことなんですけど、自然体で演技ができているのが素晴らしいですね。彼女を見てて、リアルさがありますし、そういった要素はこの映画に必要だったと思います。彼女とこの映画を撮る前に約束したことは、『心配しなくてもいいよ。キミにビキニを着せるつもりもないし、下着姿になれとも言わない』ということです。お客さんの中には『なんでそんなこと約束したんだ!』って怒る方もいらっしゃるかもしれませんが、続編では、なってもらうかもしれませんよ(笑)。冗談はさておき、そういったことって必要だと思います。この男中心の映画の中で、男のエネルギーに対抗して、彼女っていう存在というのは、バランスを取るためにも必要な存在だったんです」(PART2へ続く)