辻村深月が脚本に挑む「映画 ドラえもん」、舞台は“月”!ゲスト声優の広瀬アリスは十二単で登場
春の風物詩となった「映画 ドラえもん」シリーズの第39弾『映画ドラえもん のび太の月面探査記』(19年3月1日公開)の製作発表会見が10月15日にリッツ・カールトン東京で開催され、レギュラー声優の水田わさび、大原めぐみ、かかずゆみ、木村昴、関智一、今回のゲスト声優を務める広瀬アリス、中岡創一(ロッチ)、高橋茂雄(サバンナ)、柳楽優弥、吉田鋼太郎、主題歌を担当する平井大、脚本の辻村深月、八鍬新之介監督が出席。本作でオリジナル脚本に挑んだ直木賞作家の辻村が「自分の小説のすべては、ドラえもんから学んだこと」「(脚本は)聖書の続きを書くような気持ちだった」と並々ならぬ“ドラえもん愛”を語った。
ドラえもんのひみつ道具を使って月の裏側に“ウサギ王国”を作ることになったのび太たちが、月を舞台に大冒険を繰り広げる姿を描く本作。映画のテーマが“月”であることから、この日は“秋のお月見”をテーマに、登壇者全員が和装で登壇。かぐや姫を連想させる豪華な十二単で現れた広瀬は「自然と背筋が伸びます」と晴れやかな笑顔を見せた。
04年「冷たい校舎の時は止まる」で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー、10年に「ツナグ」で第32回吉川英治文学新人賞、12年に「鍵のない夢を見る」で第147回直木三十五賞を受賞、18年「かがみの孤城」で第15回本屋大賞を受賞するなど、高い評価を受ける辻村が初めて映画の脚本を務める。
辻村は「実は藤子プロさんから、5年くらい前にもお話をいただいた」そうで、「誰よりも『ドラえもん』のファンだと思っていますので、一生ファンでいたいから『クリエイターになるのはおこがましい』ということでお断りさせていただいた」とその際には辞退したことを告白。
しかしながら、原作者の藤子・F・不二雄の家族や一緒に仕事をしてきたスタッフから話を聞く機会があり、「藤子先生がいらっしゃらなくなったあとも、映画を送りだしている。それは当たり前のことではなくて、毎年、皆さんの情熱で送りだしてきたものだと感じた。ファンとして感謝を覚えた。もしバトンがいただけるなら、次の年、次世代へとつなげるお手伝いができるなら、そんなにうれしいことはない」とスタッフ陣の情熱に心を動かされたという。
さらに「自分の小説のすべては、ドラえもんから学んだこと」と明かした辻村。「ドラえもんがいなかったら、いまと同じ形で小説を書いていることも、作家になっていろいろなものを生みだすこともなかった」と熱いコメントは止まらず、脚本を書くことは「聖書の続きを書くようだった」とも。「原作の続きを作っているんだなと思い、背筋が伸びるようでもあり、やりがいのあるところでもあった」と語っていた。
取材・文/成田 おり枝