グッチの立役者が初監督したハイセンスな映画『シングルマン』に注目
10月2日(土)より公開の『シングルマン』は、世界的ファッションデザイナーであるトム・フォードの初監督作というだけあって、全編から美的センスがあふれ出ている注目作だ。
本作の主人公は、長年の同性の恋人だったジムが亡くなり、生きる価値を見失ってしまった大学教授ジョージ。物語は、世の中に絶望した彼が自ら命を絶つことを決意し、人生の最後にかつての恋人チャーリーを訪れるところから描かれていく。
ちなみに監督のトム・フォードは、あのグッチ、イブ・サンローランのクリエイティブディレクターとして、グッチ社を世界最大の高級ファッション企業の1つに押し上げた立役者だ。この肩書きでもわかるとおり、その美的センスは天才的で、劇中では至る所から彼の個性を感じ取ることができる。
たとえば、主人公のシックなスーツは決まりに決まっていて、メガネや時計といった小道具にもセンスが感じられる。また、60年代のソファ、ベットといった家具や、クラシックな車はどれもこれも格好良く、作品の世界観を盛り上げている。
ここまでハイセンスだと、見かけだけで中身がないのでは? と疑う人もいるかもしれない。だが、主演のコリン・ファースがベネチア映画祭で主演男優賞を受賞した他、数々の映画祭で14部門受賞という栄誉に輝いただけに、劇中で描かれる人間ドラマも見かけ倒しではない。グッチやイヴ・サンローランが好きな方はもちろん、ブランド物に縁のない方も、本作でハイセンスな世界に浸ってみてはいかがだろうか。【トライワークス】
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