ジャン=ピエール・ジュネ監督の『アメリ』と『ミックマック』の不思議な共通点とは?

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ジャン=ピエール・ジュネ監督の『アメリ』と『ミックマック』の不思議な共通点とは?

『アメリ』(01)のジャン=ピエール・ジュネ監督がユニークなストーリーで、“脱・戦争”を描いたファンタジームービー『ミックマック』が9月18日(土)より公開される。

事故で頭に銃弾が残ってしまったバジル(ダニー・ブーン)は、入院中に職も家も全てを失った。そんな彼に温かい手を差し伸べてくれたのは、廃品に囲まれた工場のような家で、不思議な集団生活を送る一人一芸を持ったユニークな仲間たち。ある日、自分の頭の中にある銃弾を作った会社と、30年前に父の命を奪った地雷を製造した会社を発見し、仲間たちと一緒に二大企業を懲らしめる“イタズラ”を決意する。

今ではアメリ役で一躍世界的な女優になったオドレイ・トトゥだが、本当の『アメリ』のヒロインは、『アンジェラの灰』(99)、『パンチドランク・ラブ』(02)のエミリー・ワトソンに決まっていた。彼女も脚本を大変気に入っており、カメラテストまで行っていたそうだ。『アメリ』というタイトルにしたのも“エミリー”をもじって、イギリス出身の女優ということで脚本もイギリスから始まるストーリーだったが、個人的な理由によりエミリー・ワトソンは降板することになってしまった。そこで脚本を修正し、キャスティングを再開したジュネの目に止まったのがオドレイ・トトゥだったのだ。ジュネ監督は「オドレイを見た時、ひと目でアメリだと確信しました」と語っており、鬼才の第六感から抜擢されたオドレイは、アメリがはまり役となった。その後の活躍はご存じのとおりだ。

実は、本作で主人公を演じるはずだったのが、その『アメリ』で八百屋の青年を演じたジャメル・ドゥブーズ。ジュネ監督は「『アメリ』の後、ジャメルのためにキャラクターを書くと約束して書き上げたのが『ミックマック』だったんです」と語るほどの熱の入れようだった。もちろん、彼も大喜びしていたのだが、『アメリ』同様、ジャメルも個人的な理由により降板することになってしまったのだ。しかし、ジュネ監督は「今回も『アメリ』の時と同じものを感じた」という第六感を信じ、脚本のディティールである、ジャメルを意識して書いた部分を修正し、ダニー・ブーンを口説き落としたという。結果的に、ジュネ監督は「今『ミックマック』を見ると、彼以外のバジルは想像できないよ。オドレイのアメリと同じ感覚だ。素晴らしい運命のイタズラだね! 僕は本当に運命に恵まれているように思うよ」と語るほどの作品に仕上がった。

不運な主演キャストの降板と脚本の変更という『アメリ』との不思議な共通点を持つ『ミックマック』。果たしてダニー・ブーンも世界的な俳優となれるのか要注目だ。【MovieWalker】

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