村上春樹作品と金獅子賞作品に出演する女優って?
村上春樹の短編小説を映画化した『神の子どもたちはみな踊る』(10月30日より全国順次公開)。日本ではなく、アメリカで製作されたこの作品で、主人公ケンゴの恋人役サンドラを演じるのがソーニャ・キンスキーだ。1986年3月2日のスイス生まれ。祖父がクラウス・キンスキー、母がナスターシャ・キンスキーという演技者の血統で、母親譲りの美貌とスタイル、ナチュラルな存在感が買われ、本作で映画デビューを果たした。そしてデビュー作にして見事なヌードも披露している。彼女は演じるサンドラについてこう分析した。「サンドラは、息子(=ケンゴ)のことを『神の子』だと信じたがるイヴリン(サンドラの母親)の気持ちを奇妙に感じている。でも、ケンゴのことは大好きでたまらないのよ」と。サンドラはケンゴを愛するがゆえ、結婚を望むが、ケンゴは「結婚はできない。僕は神の子だから」の言葉でそれを拒否する。そんなサンドラの微妙な心理状態を見事に表現しているソーニャは、既に母ナスターシャ譲りの存在感を放っているのかもしれない。
「役を演じていた時は、別の世界に行っている感じだった。いつも役のことを考え、自分の中に彼女のキャラクターを入り込ませ、これ以上ないというぐらい彼女になりきることができた」と語るソーニャは、サンドラを演じきることで人生観も変わったという。
そんな彼女がもう1つの話題作に出演している。それがソフィア・コッポラ監督の『Somewhere(原題)』(2011年4月公開予定)だ。先日まで開催されていた第67回ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を獲得した作品である。かつて、ソフィア・コッポラの父親フランシス・フォード・コッポラ監督『ワン・フロム・ザ・ハート』(82)に、ソーニャ・キンスキーの母親ナスターシャ・キンスキーが出演。そして時代を経て、それぞれの娘が監督と女優として作品に挑んでいる。これも血のなせる業だろう。ソーニャのお気に入り女優はケイト・ブランシェットやアンジェリーナ・ジョリーだそうだ。ここをステップにして、ソーニャが母やケイト、アンジーのような大女優としての階段を駆け上がっていくことができるか興味が尽きない。【MovieWalker】