宮藤官九郎、『ゲゲゲの女房』初日挨拶で「きっと良い映画だと思います」
「ゲゲゲの鬼太郎」や「悪魔くん」などで知られる漫画家・水木しげると、その妻・布枝の夫婦生活をつづった自伝エッセイを映画化した『ゲゲゲの女房』が、11月20日公開初日を迎え、出演の宮藤官九郎、吹石一恵、鈴木卓爾監督が新宿武蔵野館で舞台挨拶を行った。
10歳年上で戦争で左腕を失った漫画家水木しげる(宮藤)とお見合い結婚した布枝(吹石)は、東京での新婚生活に胸をときめかせるが、上京した布枝を待っていたのは、質屋通いも当たり前の貧乏暮らしだった。お互いを良く知る間もなく結婚し、理想とは程遠い厳しい貧困の中でも温かく生きる夫婦の絆が感動的に描かれていく。
妖怪漫画を描き続ける無口な夫・しげる役を演じた宮藤は、「新宿武蔵野館はラインナップも良く、昔から好きな劇場だったのでよく通っていました。この作品がこちらの劇場で上映されるということは、きっと良い映画だと思います(笑)」と挨拶。訪れた観客たちを和ませた。
夫を献身的に支える妻・布枝役を演じた吹石は、「ご本人の布枝さんが、漫画を描き続けるしげるさんの背中を見て、『人は絶対に成功すると確信した』とおっしゃっていましたが、宮藤さんもそんな背中をしていたと思います」とコメント。また「私よりも先に宮藤さんがクランクアップされ、それまでずっとふたりで撮影していたので寂しかった」と吹石が話すと、宮藤は「僕以外は、妖怪でしたからね(笑)」と会場を笑わせた。
「今まで出演した映画の中で、一番プロモーションを頑張りました。100件以上の取材を受けました」という吹石に対して、宮藤は「僕はそんなに頑張ってない(笑)。よく“似てるらしいじゃん”って言われるんですが、似てるかどうか、映画を見て確かめてほしいです」と映画をPRした。
今年放送されたテレビドラマでも人気を集め、話題となった「ゲゲゲの女房」。映画のメガホンをとった鈴木監督は「とにかく演じたこのふたりを信じることしか考えずに撮影したので、演じた方は辛いこともあったかも」と撮影を振り返った。ドラマ版と映画版を見比べてみるのも見どころの1つかもしれない。ドラマ版を見逃した人も、劇場で映画版の『ゲゲゲの女房』で夫婦の強い絆を感じてほしい。【取材・文/鈴木菜保美】