コムアイが躍動!『サタンジャワ』 サイレント映画&立体音響コンサートとは?

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コムアイが躍動!『サタンジャワ』 サイレント映画&立体音響コンサートとは?

『サタンジャワ』 サイレント映画&立体音響コンサートに出演したコムアイ
『サタンジャワ』 サイレント映画&立体音響コンサートに出演したコムアイ写真提供:国際交流基金アジアセンター

現在開催中の、日本と東南アジアの文化交流事業を幅広く紹介する祭典「響きあうアジア2019」で、『サタンジャワ』サイレント映画+⽴体⾳響コンサートが、7月2日に有楽町朝⽇ホールで開催。インドネシア映画の巨匠ガリン・ヌグロホ監督とサウンドデザイナー森永泰弘による映像と3D音響の響宴に、日本から⽔曜⽇のカンパネラのコムアイも参加し、⽇本・インドネシア特別編成⾳楽アンサンブルと共に、神秘的なアート空間を作り上げた。

本作は、20世紀初頭のジャワ島を舞台にした愛と悲劇の物語。貧しい村の若者スティオが、美しい貴族の娘アシーを妻にしようとして、サタン(悪魔)と契約をする。スティオは呪術により裕福になってアシーと結ばれ、幸せな家庭を築くが、ある日アシーはスティオから、過去の秘密を打ち明けられる。

【写真を見る】サイレント映画の映像とシンクロするコムアイたちに感動!
【写真を見る】サイレント映画の映像とシンクロするコムアイたちに感動!写真提供:国際交流基金アジアセンター

シンプルなモノクロのサイレント映像やライブ演奏と一体化し、パフォーマンスを繰り広げるダンサーたち。時には映像と動きがシンクロしたり、登場人物の心情をエモーショナルに体現したりと、まさに『サタンジャワ』の世界観を五感で楽しむコンサートだった。

終了後、ガリン・ヌグロホ監督、サウンドデザイナー森永泰弘、コムアイや映画でヒロインを務めたアスマラ・アビゲイルらによるトークショーが行われた。東京国際映画祭(TIFF)の常連であるガリン監督は日本への造詣も深い。「日本は、神秘的な国であると同時に最新テクノロジーも持っている国。だから今回、こういったコラボレーションができました」。

アスマラ・アビゲイルは「私はサイレント映画が好きで、チャップリン映画を観てました。でも、2015年に監督と出会い、そこからジャワの舞踊などベーシックなものを習い、2週間後に撮影だったので、すごく大変でした。監督からは『あなたのオーラでサタンを呼び出したんだよ』と言われました」とおちゃめに撮影時を振り返った。

インドネシア映画の巨匠ガリン・ヌグロホ監督作『サタンジャワ』
インドネシア映画の巨匠ガリン・ヌグロホ監督作『サタンジャワ』写真提供:国際交流基金アジアセンター

コムアイをキャストに抜擢した森永は「たまたまコムアイさんのミュージックビデオの映像を観て、ひっかかるものがありました」ということでオファーした。「彼らは、インドネシア語を話すけど、そこじゃない部分のコミュニケーションが欲しくて。コムアイさんは言語の壁を超えられるような、声そのものオーラを持っているんじゃないかなと思い、ここに至りました」。

その期待に応え、見事なパフォーマンスを披露したコムアイは「今日は、リハやゲネプロでやってないことをいっぱいやりました。最後のシーンもあんなに歌うはずじゃなかった。なんか、ぐるぐると降りてきました」と、笑顔で達成感を口にした。

立体音響コンサートということで、音響効果もすばらしかった
立体音響コンサートということで、音響効果もすばらしかった写真提供:国際交流基金アジアセンター

森永はコムアイについて「日本の舞踊界に新しい才能が現れた」と絶賛する。コムアイは「みんなすごくアドリブが利いていましたし、びっくりしたけど、いろいろ教えてもらいました」とうれしそうに目を輝かせた。

また7月10日(水)まで、「東南アジア映画の巨匠たち/響きあうアジア2019」として、躍進目覚ましい東南アジア映画のスペシャルプログラムも上映中だ。インターナショナルに活躍する東南アジアの巨匠監督を迎えての上映&トーク、シンポジウムも開催される。

取材・文/山崎 伸子

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