『ラストタンゴ・イン・パリ』主演女優が死去、衝撃の性描写に翻弄された生涯

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『ラストタンゴ・イン・パリ』主演女優が死去、衝撃の性描写に翻弄された生涯

1970年代に公開された時にはセックスシーンのきわどさで大センセーションを巻き起こし、バターを使ったアナルセックスなどの過激な性描写のためにポルノ裁判まで起きた映画として有名な『ラストタンゴ・イン・パリ』(72)の主演女優マリア・シュナイダーが、がんのため58年の生涯に幕を閉じた。

同作でマーロン・ブランド(当時48歳)の相手役に選ばれた時のマリアは19歳。後年、マリアは同作のベルナルド・ベルトルッチ監督に「利用された」と主張し、“ギャング、またはヒモ”のような監督に大胆なシーンの撮影を強要されたことが精神的トラウマになったとして、「中年のおじさんが『これはアートだ』という時には、 絶対に信じて服を脱いだりしてはいけないという教訓を学んだ」と英ガーディアン紙のインタビューで語ったことがあった。

『ラストタンゴ・イン・パリ』はマリアをスターにしたが、同時に、前途ある若き女優のキャリアを蝕んだ。以降もいくつかの映画に出演するが、ドラッグ依存症とメンタルヘルス上の問題でキャリアが先細り、結局は最後まで『ラストタンゴ・イン・パリ』の女優と呼ばれ続けた。

彼女の訃報を受け、イタリアからベルトルッチ監督が声明を発表した。「あの映画の、予想外の、そして残酷なまでの成功に耐えるには、彼女は若すぎた。自分の若き日を略奪されたとしてマリアが私を非難していたのも、全く根拠がなかったわけではないと今は思っている。少なくとも一度、彼女に謝罪をしておくべきだった」とベルトルッチ監督は語ったとAFPが伝えている。【UK在住/ブレイディみかこ】

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