気鋭の現代アーティスト、ピュ~ぴるの全貌に迫ったドキュメンタリーが公開
奇抜なコスチュームをまとい、そのキャラクターになりきるパフォーマンスで注目を集める現代アーティスト、ピュ~ぴる。そんな彼女の素顔に迫りつつ、8年にも及ぶ創作の軌跡を映したドキュメンタリー『ピュ~ぴる』が3月26日(土)より公開されることになった。
男性として生を受けながらも、幼い頃から自身の体に違和感を覚えていたピュ~ぴる。その違和感を解消するため、独学で洋裁を学び、様々な衣装を制作するようになった彼女は、やがて各衣装にキャラクター性を持たせることを意識するようになる。そのアイデアが発展して、自ら衣装をまとってキャラクターになりきるパフォーマンスが誕生。その活動が海外のカルチャー誌でフィーチャーされたことで、彼女は世界から注目されるアーティストの仲間入りを果たしたのだ。
だが、劇中ではアーティストとして成功を手にするまでの姿だけでなく、性同一障害に苦しむピュ~ぴるの姿も映し出している。男の体に対する葛藤、家族との衝突、実ることのない恋愛、そして去勢手術に至るまでの過程がしっかりと描かれていて、彼女の人となりがより明確にわかるようになっている。
ちなみに本作は、ロッテルダム国際映画祭で上映された際、観客による投票ランキングで見事9位にランクインしている。ハビエル・バルデム主演の『Biutiful ビューティフル』(今夏公開予定)や、アカデミー賞5部門にノミネートされた『ブラック・スワン』(5月13日公開)など、数々の傑作が並ぶなか、日本映画としては『十三人の刺客』(10)の8位に次ぐ好評価だった。また、ドキュメンタリー映画としては堂々1位であり、これらの結果からも、本作が大変見応えのある作品であることがわかるだろう。
悲壮感あふれるマイノリティ作品としてではなく、心晴れるパワーに満ちた力強いドキュメンタリーとして製作された『ピュ~ぴる』。本作を見れば、そのド派手なパフォーマンスに圧倒されると共に、生きる活力がみなぎってくること間違いなし!【トライワークス】