品川ヒロシ監督最新作の撮影現場に潜入!圧巻の生ライブに鳴り止まぬ拍手<写真45点>
品川ヒロシ監督が、北海道下川町を舞台に製作中の最近作『リスタート』(2020年公開)。フォークデュオ「HONEBONE」のボーカルEMILYを主演に迎え、品川監督作品初となる女性を主人公にした“28歳の青春ストーリー”を描く本作は、北海道下川町と吉本興業がSDGs推進における連携協定を結び、「下川町株式会社」プロジェクトを発足させたことがきっかけでスタートしたプロジェクトだ。しかし、地域活性化のためのPR映画に留まることなく、“品川ヒロシ監督の最新作”を作るべく、多くの人たちのサポートを受けて撮影された本作は、8月月21日~31日に撮影が行われ、無事クランクアップを迎えた。
今回、Movie Walkerは本作の舞台となる雄大な自然に囲まれた下川町の撮影現場を訪問。そこにはキャストやスタッフたちと共に、早朝から深夜まで続く過酷な撮影を乗り越えようと奮闘する品川監督の姿があった。
EMILYをはじめ、ヒップホップグループ「DOBERMAN INFINITY」のメンバーで劇団EXILEに所属するSWAY、中野英雄、黒沢あすからが出演する本作は、シンガーソングライターを夢見て上京した主人公、杉原未央(EMILY)が、スキャンダルが原因で夢を諦め、故郷の下川町に帰郷。そこで暮らすかつての同級生や家族、下川町の自然に触れることで心を取り戻していく姿を描く人間ドラマ。
撮影現場を訪問したのは29、30日の2日間。29日は、未央の実家であるゲストハウス「エコハウス美桑」内での撮影と、その前を流れる小川での家族や幼馴染の大輝(SWAY)とのやり取りのシーン、そして、下川産業組合農業倉庫でのライブシーンの撮影が行われた。
撮影最終日となった30日には、本作で重要な役を演じるブラックマヨネーズの小杉が撮影に合流し、現場の雰囲気はより一層賑やかに。小杉は、本作のクラウドファウンディングに自ら30万円を出資し、カメオ出演の権利をゲットしたという。品川監督も芸人仲間の合流がうれしかったようで、台本には書かれていない小杉の鉄板ギャグ「ヒーハー!」をシリアスなシーンに急に取り入れて撮影しはじめ、現場が爆笑の渦に巻き込まれる一幕も。
未央がすべての気持ちを歌にぶつける下川産業組合農業倉庫でのライブシーンは、本作のなかでも屈指の重要な場面だ。EMILYは倉庫での撮影について「ライブ感を大事にしたかったので、相方のKAWAGUCHIさん(HONEBONE)にギターを弾いてもらって、どうにか私が弾いているように見せたいと試行錯誤をして作った空間でした。やってみて『夢を見させてもらったな』って気持ちになりました」と語った。倉庫にはエキストラとして100人を超える下川町民が集まり、そのなかでEMILYは、生歌で力いっぱい未央の気持ちを歌い上げた。その圧巻の歌声に、撮影であることすら忘れたエキストラの町民たちから割れんばかりの拍手が贈られ、品川監督の「カット!」の声がかき消されるほどの盛り上がりをみせた。
その後、次々とクランクアップを迎えた主要キャストたち。挨拶をしながら涙ぐむ姿に触発され、思わずもらい泣きする品川監督。すべての撮影を終えたあと、品川監督は「映画の撮影でこんなに感極まったことはないんですけど…」と前置きしながら、過酷なスケジュールでの撮影をキャスト、スタッフたちと乗り切ったことを振り返り、「自分1人で映画を作っているような気分になっちゃう時もあるんですが、多くの方のサポートがないと映画は作れない。本当に支えてくれたみんなをリスペクトします。初心に返れた気持ちです」と心境を明かした。
演技初挑戦ながら、主役を演じ切ったEMILYは「本当に『リスタート』というタイトルの通り、ドン詰まっちゃってる人や、スカッとしたいなって人に観てもらって、本作を通して“リスタート”してほしいなと思います。『誰でも、いつかはリスタートできるよ』っていうことを伝えたいですね」と清々しい笑顔で話す。
「やっぱオレ、グツグツしてる人が好きなんだよね」と話す品川監督は、「(EMILYの)まだ上を見て、上がっていきたいっていう気持ちや悔しさが、そのまま映画にダイレクトに出ていると思う。それって別に役者やアーティスト、芸人じゃなくても感じることだと思う。この物語の主人公は28歳の女の子だけど、やっぱりそれぐらい年齢の時って、絶対将来への不安や思い通りに行かない日々に焦る気持ちを持っていると思うので、そんな人たちに響いてくれたらなって」と本作に込めた想いを語った。
「大輝の『28歳ぐらいで人生終わったみたいな顔すんな』というセリフがあるんだけど、それは僕が20代の子たちに思うところでもあって。同時に、自分自身にも『47歳ぐらいで人生終わったような顔すんな』って思うところもあるんです。そういう、みんなが人として更に上のステージへ上がっていく時に勇気が持てるような映画になってるんじゃないかなと」。
文/編集部