白石和彌監督も大絶賛する新たな才能が、今年のPFFの頂点に!「オンリーワンな映画です」

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白石和彌監督も大絶賛する新たな才能が、今年のPFFの頂点に!「オンリーワンな映画です」

東京・京橋にある国立映画アーカイブで現在開催されている第41回ぴあフィルムフェスティバルで20日、これまで黒沢清や矢口史靖、塚本晋也ら多くの映画監督を輩出してきた映画界の登竜門として知られる「PFFアワード2019」の表彰式が行われ、受賞作品が発表された。

「PFFアワード2019」のグランプリ作品は中尾広道監督の『おばけ』に決定!
「PFFアワード2019」のグランプリ作品は中尾広道監督の『おばけ』に決定!

今年の「PFFアワード」では495本もの応募の中から18作品が選出。そのなかから映画祭に来場した観客が選ぶ「観客賞」をはじめ、最終審査員が選ぶ「審査員特別賞」3作品と「準グランプリ」、そして「グランプリ」など各賞が決められる。今年最終審査員を務めたのは『孤狼の血』(18)で第42回日本アカデミー賞優秀監督賞を受賞し、最新作『ひとよ』(11月8日公開)が控える白石和彌監督、映画監督としても活躍する俳優の斎藤工、『オーバーフェンス』(16)や『ハード・コア』(18)を手掛けた山下敦弘監督、映画プロデューサーの西川朝子と、写真家の野村佐紀子の5名。

栄えある今年のグランプリに輝いたのは、1979年生まれの中尾広道監督が手掛けた『おばけ』。ひとりで自主映画を作り続ける監督を中心に、彼の映画制作の過程が大きな宇宙へとつながっていくという物語。今回が3度目のPFFアワード入選となった中尾監督は「生きてるうちに評価されてよかった」と安堵の表情を浮かべると「いまの自分にできることを全部出しました。素晴らしい賞をいただけたことは、今後の僕の映画人生の励みになりますし、いままでやってきたことを肯定していただいたことを真摯に受け止めて、今後ずっと自主制作でやっていきたいと思っています」と高らかに宣言。

そんな中尾監督に賞を贈った白石監督は、最終審査員5名の満場一致でグランプリが決まったことを明かし「オンリーワンな映画です。この映画を語る言葉を僕は持ち合わせていなくて、小説とか漫画とかほかの方法では表現しきれない、映画としか言いようがない感情が湧き上がる映画だった」と絶賛。そして「中尾監督が作家というのであれば、僕はまだそこには行けてないとすら思いました。中尾監督は映画に愛されていると思います」と、驚嘆を隠しきれない様子で語った。

また準グランプリには山口優衣監督の『雨がやむとき』が輝き、審査員特別賞を今村瑛一監督の『ビューティフル、グッバイ』、清水啓吾監督の『きえてたまるか』、キヤマミズキ監督の『くじらの湯』の3作品が受賞。残念ながらこの日は会場に来られなかった最終審査員の斎藤は、ビデオメッセージで『ビューティフル、グッバイ』について「監督にしかないオリジナルの感覚を持っていらっしゃると思うので、これからの監督の作品を観てみたい」と熱烈な賛辞を贈った。

【写真を見る】白石和彌監督が次代の才能たちに脱帽!「タランティーノの新作を観るのやめました」
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受賞作品が出揃った後に講評を行なった白石監督は、今回入選した監督たちに向けて「僕はいま映画監督をやっていますが、自主映画をほぼ撮ったことがなく、思い立った衝動で映画を撮って応募するだけでも尊敬に値すると思っています」と敬意を述べ、「どの作品も作った人の想いが僕らに届きましたし、全作品を会場で観た翌日は余韻がすごくて、タランティーノの新作を観るのをやめました」と笑いを誘う。そして今後の日本映画界を担っていく才能に刺激を与えられたのか「遠くない未来に自主映画を撮りたいと思える夏でした」と笑顔でまとめた。

今年の受賞作品は9月21日(土)のぴあフィルムフェスティバルにて上映。グランプリ受賞作『おばけ』は10月28日(木)から開催される第32回東京国際映画祭にて上映される。

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