日米同時公開された『ジョーカー』、全世界で大ヒットを記録!カリフォルニアでは劇場脅迫事件も
10月4日に日米同時公開となった『ジョーカー』。2019年最大の話題作として、ロサンゼルスでも上映開始の午後4時の回は大混雑だった。ハリウッドにあるArcLight Cinemasはロサンゼルス市内に3か所ある70mmフィルム/35mmフィルム上映館で、なかでもCinerama Domeというドーム型の大型劇場での上映に人気が集まっていた。このCinerama Domeは1963年に初めてスーパーシネラマ方式で上映された映画『おかしなおかしなおかしな物語』公開時に開館した世界で唯一の劇場で、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』にもちらりと映っている。
公開前週からロサンゼルス市警察が警備を強化するというニュースが流れ、同じくロサンゼルスで70mm上映を行うLandmark Theatresはコスプレやマスク着用が禁止された。ArcLight Cinemasではコスプレ禁止令こそ出ていないが荷物チェックが念入りに行われ、映画上映前の劇場スタッフによる前説でも、非常口の位置や導線についての説明があった。それ以外は特別なこともなく、800席ほどあるドームの9割程度が埋まり、なんの混乱もなく上映が行われた。木曜日だからなのか、コスプレ客を見かけることもなく、少し拍子抜けするほどの通常上映だった。だが、ロサンゼルス近郊のハンティントン・ビーチにある映画館には劇場に対して暴動を示唆する脅迫があり、警察が出動し木曜日夜の『ジョーカー』上映が中止されるという騒ぎに。警察による捜査の結果無事が確認され、翌朝より上映を再開している。2012年にはコロラド州オーロラの映画館で『ダークナイト ライジング』(12)上映中に自らをジョーカーと名乗る犯人が銃撃事件を起こし、12人が死亡し58人が負傷するという惨劇が起きていることから、アメリカ各地では厳重な警備が行われていた。なお、この事件の現場となったオーロラの映画館では『ジョーカー』の上映は見送られている。
このような社会的ニュースも追い風となり、『ジョーカー』の週末興行成績は今年1番を記録。アメリカ全土4374館で公開され、約9350万ドル(約102億円)を記録し、10月に公開された映画の興行成績第一位となった。海外でも日本を含む73カ国で同時公開され、2億3400万ドル(約257億円)を売り上げた。73か国のうち39か国ではワーナー映画として2019年の最高のオープニング成績を記録している。
文/平井伊都子