『決算!忠臣蔵』の原作者・山本博文に聞く!江戸時代の出来事にかかった驚愕の金額とは!?
これまでに数多くの映画やドラマで映像化されてきた日本の歴史的事件「忠臣蔵」。長く日本人に愛され続けてきた題材を、『殿、利息でござる!』(16)の中村義洋監督が切り口も新たに“お金”の面から描いた超大作『決算!忠臣蔵』(11月22日公開)が誕生した。大石内蔵助役の堤真一、そろばん侍・矢頭長助役の岡村隆史をはじめ、出演者には各ジャンルで活躍する豪華メンバーが集結。内蔵助が実際に書き遺した討ち入り計画の決算書をもとにしているため、登場人物の行動のひとつひとつに説得力のあるリアリティが感じられるのが新鮮だ。
本作の原作となったのが、山本博文さんの著書「『忠臣蔵』の決算書」(新潮新書刊)だ。本書は、吉良邸討ち入りに費やされた軍資金から潜伏中の会議費、住居費、飲食費に至るまで、大石内蔵助が記録した会計帳簿を元に、赤穂浪士の行動や揺れる心の動きまでをも解き明かしている。
今回は、日本の歴史学者であり、東京大学の教授も務められている山本博文さんに、江戸時代に起きた有名な出来事は、果たしてどのくらいお金がかかっていたのかを聞いてみた!
日光東照宮の建設費 684億4740万円
日光東照宮は、元和3(1617)年徳川家康公を御祭神に祀った神社。現在の主な社殿群は寛永13(16369年に造替されたものだ。材木、金箔、銅瓦などの材料費、大工や人夫などの人件費込みで、金換算で総額570395両=684億4740万円。現代は人件費が高いので、建設費はもっと高くなるらしい。
参勤交代 6億6400万円
全国250以上ある大名家が2年ごとに江戸に参勤し、1年経ったら国元へ引き上げるという交代を行う制度。かかる金額は藩により千差万別だった。最も豪華な参勤交代をした藩は、加賀藩100万石の前田家で、文化5(1808)年2000人ほどの12泊13日の帰国費用が銀332貫=6億6400万円だったという。
生類憐れみの令の損害 18万円/年
江戸時代前期、第5代将軍・徳川綱吉によって制定された、動物、嬰児、傷病人保護を目的とした諸法令の通称。犬たちのエサ代に充てる新税として、幕府は江戸の土地持ちから毎年18万円を徴収していた。犬小屋建設を命じられた藩は、財政窮乏に陥ったとも言われている。
池田屋事件 6000万円以上
元治元(1864)年京都の旅館・池田屋に潜伏していた長州藩・土佐藩などの尊王攘夷派志士を、新選組が襲撃した事件。会津藩は新選組の奮闘を賞するため、幕府から預かっていたお金の中から全員へ500両=6000万円の褒美を与え、幕府からも全員に一律10両=120万円が支給された。
こんなお金どこから出てきたのだろうと思うほど、江戸時代の出来事には多額のお金がかかっていた!では、「忠臣蔵」にはどのくらいのお金がかかっていたのか気になるところ。映画で語られる、江戸時代から語り継がれる事件の”お金の新事実”に注目したい!
イラスト=たつみなつこ、文=石塚圭子【シネコンウォーカー編集部】