“ポスト宮崎駿”の注目株、新海誠の描く世界とは?
国内のみならず、海外からも注目を集めている日本アニメ界。そのトップを走り続ける存在として誰もが知るのは『千と千尋の神隠し』(01)でアカデミー賞を受賞した宮崎駿だろう。彼に続けと『サマーウォーズ』(09)の細田守監督、『カラフル』(10)の原恵一監督など、次世代を担う才能が続々と登場しているが、なかでも“ポスト宮崎駿”として注目したいのが、5月7日(土)より新作『星を追う子ども』が公開となる新海誠監督だ。
新海誠は、ほとんどの作業をたった一人で行った自主制作短編アニメ『ほしのこえ The Voices of a distant star』(02)で一躍脚光を浴びた、1973年生まれの映像作家だ。初の長編作品となる『雲のむこう、約束の場所』(04)では、宮崎駿監督の『ハウルの動く城』(04)を押さえて、第59回毎日映画コンクールアニメーション映画賞を見事受賞。続く『秒速5センチメートル』(07)は全国でロングランヒットし、海外の映画祭でも上映されるなど、高い評価を得ている。
そんな新海作品の特徴として挙げられるのが、印象的な光に彩られた美しい風景描写。どこか懐かしさが漂う、何気ない街角や雄大な自然を背景に、キャラクターたちが生き生きと動き回る映像からは、宮崎アニメとどこか通じるものを感じることができるはず。これまでは比較的大人向けの作品を手がけてきた新海監督だが、4年ぶりの新作となる本作では“伝説の地”を舞台にした少女の冒険物語に挑んでおり、美麗な世界はそのままに、大人から子供まで楽しめる王道のファンタジーに仕上げている。
監督10年目を迎える節目に、変化を恐れず、ストレートな冒険活劇で新境地を切り開く新海監督。これからのアニメ界を担う存在としてますます注目されるのは間違いないところだ。新海誠が生み出す独自の映像世界を堪能してみてほしい。【トライワークス】