松山ケンイチ「普通を演じさせたら妻夫木さんに勝てる人はいない!」と先輩・妻夫木聡を尊敬

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松山ケンイチ「普通を演じさせたら妻夫木さんに勝てる人はいない!」と先輩・妻夫木聡を尊敬

若きジャーナリストと活動家の交錯を描く『マイ・バック・ページ』(5月28日公開)の完成披露試写会が4月13日、日経ホールで行われ、出演者の妻夫木聡、松山ケンイチと、山下敦弘監督、主題歌を担当した真心ブラザーズ+奥田民生が登壇した。

文芸・映画評論、翻訳、エッセイなど多岐にわたる分野で活躍する文筆家の川本三郎が1969年から1972年までのジャーナリスト時代を綴ったノンフィクションが原作となっている本作だが、山下監督は「原作に映画化したいなと思わせてくれる力があったので、4年前に『やろう』と思ってからが大変でした。時代を描くということで、実際に事件に関わった方も当時を知っている人もまだ現役で活躍されているなかで、見えないプレッシャーがありました」と苦悩を明かした。

前作『悪人』(10)では日本アカデミー賞主演男優賞に輝いた妻夫木は、前作とは違い、今作では情熱的で真っ直ぐ、純粋なジャーナリストを演じている。役を演じるにあたり、妻夫木は「『悪人』をやってから、芝居に対しての取り組み方が変わったので、役に対するアプローチの段階で、(原作者の)川本さんが育った阿佐ヶ谷に行って写真を撮ったり、スーパーに行って野菜を買ってみたり、東大に行って写真を撮るだけでなく、安田講堂に触れてみて、心で感じることを大事にしました。ただ真っ直ぐになると、暑苦しいだけの世間知らずの勘違いした若者に見えがちな役だったので、そうならないためにも自分がどう一人の沢田という人間としてあるべきか、自分の中で自問自答しながら演じていました」と、撮影時の心境を吐露した。革命家を目指している梅山を演じた松山は、自身の役柄について「台本を読んだ時に『どういう意図を持って行動や発言をしているんだろう』と思った。言葉に説得力がある。言葉で絡みとっていく表現がしたかった」と説明するも、「説明しづらいんですけど、見ていただければわかると思う」とコメント。

事務所の先輩・後輩である妻夫木と松山は今作が初共演だ。妻夫木は松山の印象を、「9年前に出会った時は、階段の隅で体育座りしていて、人見知りが激しそうだったから、大丈夫かなと思った」と、当時から気にかけていたようだ。一方、松山は妻夫木を「普通ってものを演じる難しさがあるんですけど、普通を演じさせたら妻夫木さんに勝てる人はいない!」と絶賛、尊敬の眼差しを向けた。松山とは3度目の顔合わせ、妻夫木とは初顔合わせとなった山下監督は、キャスティングについて「脚本を書いている段階から、妻夫木くんと松山くんのことを想定して書いていたので、理想のキャスティング」と、このふたりと撮影できた喜びを語った。

本作のタイトルともリンクする主題歌「My Back Pages」は、1964年のボブ・ディランのアルバムに収録された名曲を、真心ブラザーズ+奥田民生がカバー。本作を見たという奥田は、「せっかく映画に入り込んでいたのに(エンディングで)『俺かよ』と、ちょっとブルーになった」と自虐的になり、レコーディングを振り返り「(3人でやることは)何の違和感もなくやらせていただきました。カバーするのは非常に楽しく、自分の曲ではないので責任感もない」と暴露し、会場の笑いを誘った。真心ブラザーズ+奥田民生によるシングル「My Back Pages」は2011年5月25日(水)発売だ。【Movie Walker】

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