【FEFF】映画祭4日目は『告白』の登場で会場は超満員!観客の反応も良好
朝から晩までアジア映画三昧のファー・イースト・フィルム・フェスティバルも4日目を迎えた。
今日の一本目は日本の作品で、江戸時代を舞台に描いたロマンス『雷桜』(10)。設定自体は興味を引くものだ。衣装もセットも良かったが、しかし、なぜ新品のような綺麗さなのだろう? 農民でさえ常に洗濯機で洗いたての服を着用しているかのように見える。音楽なども含め、作品全体的に欧州の人間には理解しにくい作品だった。
二本目はフィリピンの『ロックンロール』という作品だが、映画というよりは、単にとあるロックバンドの宣伝活動にすぎなかった。そのバンドのCDはきっちり会場で売られていたが。ある若者が音楽を書き始め、3日で有名人と共にバンドを結成し、凄腕プロデューサーに見出され、という内容が続く。唯一の救いは歌手の声が所々良かったという点か。
三本目にして、ようやく良い映画に巡り会えたようだ。デレク・ツァン、ジミー・ワンの共同監督による『Lover's Discourse』は香港が舞台の恋愛ドラマ。青春時代の純愛、友達の母との過ち、不倫など、複雑に入り組んだ(と言っても、実際にはシンプルな、人間の弱いところを描いだ)愛を描いた作品で、それぞれのストーリーが同時進行的に描かれ、他のストーリにも影響しあう。それぞれの話が良くできていて、飽きることなく楽しめる作品だ。昨日も書いたが、今年の中国映画は格段にレベルが上がってきている。
そして、今日の大本命、日本からの出品作『告白』(10)だ。これは傑作だ! とても良く作られている。プロットの組み立て、語り、グラフィック、ストーリー展開、どれをとっても申し分ない。本当にこれ以上、言うべきことがない。個人的には恐らく今回のFEFFの作品の中で、一番優れた作品ということになるだろう。22時5分という夜遅くからの上映にも関わらず、会場の新ジョバンニ劇場は超満員で、上映後の観客の反応も大変良かった。
最後はガオ・チュンシュウ監督の『Wind Blast』。香港のアクションムービーで、登場人物は早口でしゃべりまくり、いつもながら、次々に現れるイタリア語字幕は判別不可能。アクション盛りだくさんながら、やりすぎ感もなく、ピストルでの決闘シーンは西部劇風か。個人的にはこのジャンルは好きではないが、評価されて良い作品だ。【現地取材:Marco Sottile/翻訳・編集:真野香理】