【第92回アカデミー賞】国際長編映画賞はポン・ジュノ監督作『パラサイト 半地下の家族』、2つ目のオスカー像にガッツポーズ!
現地時間2月9日(日本時間10日)、ロサンゼルスのドルビー・シアターで開催中の第92回アカデミー賞授賞式。本年度より外国語映画賞改め国際長編映画賞となった同賞に輝いたのは、下馬評どおりポン・ジュノ監督の韓国映画『パラサイト 半地下の家族』(19)だった。同作は国際長編映画賞のほか、作品賞、監督賞、脚本賞、美術賞、編集賞の6部門にノミネートされ、すでに脚本賞を受賞している。
本作は、半地下の部屋に暮らす、全員失業中の貧しい一家が、IT企業を経営する裕福な社長一家に家庭教師や運転手、家政婦として入り込んでいくことで、予想外の展開を見せる。主演は、ポン・ジュノ監督と『殺人の追憶』(03)以来4度目のタッグとなった名優ソン・ガンホ。
すでに韓国映画で初めての脚本賞を受賞し、国際長編映画賞も合わせて2つ目のオスカー像を手にしたポン・ジュノ監督は、ガッツポーズで笑顔を見せた。「大変な名誉です。今年から賞の名称が変わりました。国際長編映画賞の初めての受賞者となれたことをうれしく思います。その名前はとても象徴的で、その目指している方向性を僕は支持しますし、拍手を贈りたいです」。
続いて「この映画を一緒に作ったすばらしい役者やスタッフがここにいます」と会場を指すと、ソン・ガンホたちが立ち上がって笑顔を見せたり、投げキスを贈ったりした。さらにスタジオや技術スタッフにも感謝したあと「これからたっぷり、朝まで飲もうと思います」とおちゃめに締めくくった。
第72回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞後、オスカー前哨戦である第77回ゴールデングローブ賞外国語映画賞受賞をはじめ、各国の映画祭を含め200以上の賞を獲得している。
過去に韓国映画が国際長編映画賞(過去の外国語映画賞)にノミネートされた経験もなく、作品賞とのWノミネートは、アカデミー賞の歴史の中で7本目だが、純粋なアジア映画が、作品賞にノミネートされるのも史上初となった。また、アジアから監督賞にノミネートされるのはアン・リー監督以来、史上2人目となり、この後の発表にも大いに期待がかかる。
文/山崎 伸子