世界三大映画祭の受賞作の多くはなぜ日本で見られないのか?|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
世界三大映画祭の受賞作の多くはなぜ日本で見られないのか?

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世界三大映画祭の受賞作の多くはなぜ日本で見られないのか?

世界の三大映画祭といえば、カンヌ、ベルリン、ヴェネチアで開かれる国際映画祭を指す。それぞれパルム・ドール、金熊賞、金獅子賞が最高賞とされ、衣笠貞之助監督の『地獄門』(53)、宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』(02)、黒澤明監督の『羅生門』(50)などの傑作が世界的に認められるきっかけを生んだ場所として、日本の映画ファンにとっては思い入れのある映画祭だと言えるだろう。その一方で、ハリウッドのエンタテインメント大作とは対照的ともいえる芸術的な作品や実験的なドキュメンタリーが高く評価されることでも知られている。

日本経済の低迷と共に、ヒット作のリメイクやテレビドラマシリーズの映画化など、確実に動員が確保できる作品が大局を占めるようになり、小粒ながら良質な作品を上映するミニシアターと呼ばれる映画館は次々と閉館に追い込まれてしまった。三大映画祭で高く評価されるようなアート系映画は、多くの興行収入を見込めないとして、配給会社に買い付けられることなく終わってしまうのが、日本の映画業界の厳しい現状だ。そんななか、ヒューマントラストシネマ渋谷で、8月13日(土)から26日(金)までの期間、「三大映画祭週間2011」と銘打ち、世界の三大映画祭で絶賛された傑作の数々が一挙公開されることに。

今回上映されるのは、内戦下のアフリカ中央部・チャド共和国が舞台の2010年カンヌ国際映画祭審査員賞受賞作『終わりなき叫び』(10)や、2010年ベルリン国際映画祭銀熊賞(男優賞)と銀熊賞(芸術貢献賞)に輝いたロシア映画『夏の終止符』(10)など、特別上映2作品を含む全9作品。確かに耳慣れない言語とあまりなじみのない社会情勢など、一見ハードルが高いと思われがちな作品群だが、鋭くも温かい視線で人間という存在を見つめたドラマは、言葉や国の壁をいともたやすく乗り越え、私たちの心を強く揺さぶる。

海外の多くの配給会社の賛同によって実現した今回の特集上映。目の肥えた世界の映画人たちが絶賛した秀作の数々をスクリーンで見ることのできるこの貴重な機会を是非とも見逃さないでもらいたい。【トライワークス】

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