ツイ・ハーク監督、功労賞受賞に待った!?
“香港のスピルバーグ”とも呼ばれ、世界的な人気を誇るツイ・ハーク監督が、第10回ニューヨーク・アジア映画祭に出席するためニューヨークを訪れ、新旧4作品『蜀山奇傅 天空の剣』(83)、『ツイン・ドラゴン』(92)、『ブレード 刀』(95)、『狄仁傑之通天帝國』(10)の公開にあわせて、各作品公開前に精力的に登壇し、ニューヨーカーに感謝の意を表した。
今回、同映画祭アジア人功労賞を受賞したハーク監督は、最新作『狄仁傑之通天帝國』(10)の公開前に行われた授賞式に出席。同映画祭のスタッフはハーク監督について、「常に妥協を許さず、新しいことに挑戦し、新しいものを見せてくれる監督です。彼の作品を見ていると、童心に返ることができるし、それが血みどろの激しい戦いの映画であったとしても、最後に必ず救いがあり、観客に『自分たちも頑張ろう』と思わせてくれる作品を作り続ける、稀有な監督です」と紹介。「ニューヨークにも住んだ経験のあるハーク監督は、ここでも大変な人気で、2001年にハーク監督の回顧録の映画祭を主催しましたが、その10年後に、ここにハーク監督を同映画祭に迎え、功労賞を授与できることを本当に嬉しく、また誇りに思います」とハーク監督の偉業を称えた。
褒めちぎりの紹介と満席の会場から大きな拍手で迎えられ、嬉しそうに満面の微笑みを浮かべながら登壇したハーク監督は、「功労賞をいただき、本当に感謝しています。功労賞というと、終わりという感じにも聞こえますが(笑)。これからも期待に応えられるよう、良い映画を作り続けたいと思います」と挨拶し、訪れた多くのメディアやファンの前で、授与された表彰状を高々と掲げて敬意を表した。
続けて同映画祭のスタッフが、新たな表彰状を持って登壇したため、会場にはざわめきが起こった。同映画祭で功労賞を受賞されると聞いたハーク監督は、「僕はまだ61歳だよ。功労賞っていうのは今までの仕事に対して与えられるものだから、もうこの後はないってことかな(笑)」と、スタッフに対し、冗談まじりながら真剣に疑問を投げかけたそうで、功労賞は二度は受賞できないため、今後の偉業に対する功労賞第二弾を先渡しするという、異例の行動をとったという。
その後、上映された最新作『狄仁傑之通天帝國』(10)は、唐の時代(西暦689年)、中国で最初で最後の女帝となった武則天と、彼女の周囲で起こる奇怪な殺人事件を解決するために、今まで罪人として追放されていた判事、狄仁傑(アンディ・ラウ)を中心に描かれた作品で、香港で毎年春に開催される香港のアカデミー賞とも言われる香港電影金像奨でも、最優監督賞、そして武則天に扮したカリーナ・ラウが、主演女優賞を受賞した秀作だ。ハーク監督は、「武則天は、歴史上、恐怖政治を行った女帝として悪く言う人も多いのですが、色々調べていくうちに、愛すべき存在でもあったと思っています。是非、この映画を楽しんでください」と挨拶して舞台を去った。
4作品のチケットはどれもほぼ完売で、立ち見でも作品を鑑賞することができない人が出るほどの盛況ぶりだったそう。改めてニューヨークでのハーク監督の人気を見せつけたわけだが、既に今後の功労賞も受け取り、将来を約束されたハーク監督の今後の作品も大いに楽しみだ。【NY在住/JUNKO】