『日輪の遺産』森迫永依が語る「戦時中の女の子って実はすごく格好良い!」

インタビュー

『日輪の遺産』森迫永依が語る「戦時中の女の子って実はすごく格好良い!」

軍の命令を受けて、極秘任務に就くことになった3人の軍人と、彼らと行動を共にした20人の少女たちがたどる壮絶な運命を描いた歴史大作『日輪の遺産』(8月27日公開)。そんな本作で、激動の時代に翻弄される女学生・久枝を演じたのが、現在、様々な分野で活躍中の若手女優・森迫永依だ。今回はそんな彼女に、本作に込めた思いや撮影時の裏話について語ってもらった。

実はこれまでにも、戦争を題材にした作品に出演経験のある森迫。そんな彼女も今作では、感情の表現についてかなり苦労したという。「今回は戦争に翻弄される一人の女の子としてだけでなく、同級生をまとめる女学校の級長役でもあったので、両方の感情を演じ分けるのが難しかったです。本当は怖くて不安だけど、勇気を出して軍人相手に意見も言ったり。シーンごとにどちらの感情を出すべきか、毎回、監督と相談しながら決めていきました」。久枝というキャラクターについては、「私と似ている部分が多いですね。何が起こっても前向きなところはそっくりです。なので、特別に作り込んだりはせず、普段通りのイメージで取り組むことができました」と語ってくれた。

また、本作の脚本には大変感銘を受けたそうで、読み返す度に新たな発見があったのだとか。「実は、初めて読んだ時は内容が難しくて、よく理解できなかったんです。少女たちが悲劇に巻き込まれていく姿を描いた、悲しいお話なんだと思っていました。でも何回も読み返すうちに、彼女たちも自分の意志で物事を考えて、納得したうえで行動していくお話であることに気付いて。遅ればせですが、すごく感動しました」。

撮影前には、女学生役のキャストと共に、戦争の歴史や当時の女学生に関する資料を読み込み、戦時中の時代背景を徹底して勉強したという。「女学生役のみんなとは、クランクインの1ヶ月ぐらい前から、一緒にDVDを見たり、資料を読んで勉強しました。勉強を始めた頃は『今の時代に生まれることができて良かった』という気持ちだったんですけど、調べていくうちに『戦時中の女の子は、強い使命感や達成するべき目標がしっかりと定まっていて、そのためなら弱音も吐かずに頑張れる。すごく格好良い存在だな』って、思うようになっていきました。映画の中にも、そんな“格好良い女の子”たちが出てくるので、男性陣だけでなく、私たちの活躍にも注目してほしいです」。

そんな森迫も、劇中で幾度となく歌われる「比島決戦の歌」には複雑な思いがあったようで、「歌詞の中に過激な箇所がたくさんあって、本来なら女の子が口にするような歌じゃないですよね。でも、映画の中では少女たちが、日本が勝つと信じて純粋な気持ちで楽しそうに歌っているんです。当時の少女たちは何も知らないで、この歌を歌っていたのだと思うと、何だか悲しい気持ちになります」と、その心境を聞かせてくれた。

本作には、堺雅人演じる陸軍少佐・真柴をはじめ、福士誠治、中村獅童、そしてユースケ・サンタマリア扮する女学校の教師・野口と、4人の演技派俳優が出演しているが、彼らとの共演は、森迫にとって良い刺激になったという。「物語後半、洞窟の前に4人が集まって意見をぶつけ合うシーンがあるんですけど、皆さんすごく真剣で、感情がビシビシ伝わってくるんです。私は後ろの方で、ことの成り行きを見守るポジションだったんですけど、ただただ皆さんの芝居のすごさに圧倒され、見入ってしまいました」。また、撮影の期間中、女学生役のメンバーの中では、「男性陣のうち、誰が一番格好良いか?」という話題もあったらしく、「私の場合、ダントツでユースケさん演じる野口先生でした。警察からにらまれながらも、生徒たちに本当に大切なことを教えてくれる、優しくて格好良い先生なんです。でも役のうえでは、中村獅童さんの演じる望月曹長と結婚するんですけどね(笑)」と、秘蔵エピソードも聞かせてくれた。

太平洋戦争開戦から70年という、節目の年に公開される本作『日輪の遺産』。鑑賞時は、男たちの織り成す重厚な人間ドラマだけでなく、懸命に生きた少女たちのきらめきにも着目し、命の尊さを改めて実感してもらいたい。【六壁露伴/Movie Walker】

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