竹内結子、はやぶさと恋愛「知れば知るほど好きになった」

インタビュー

竹内結子、はやぶさと恋愛「知れば知るほど好きになった」

小惑星探査機はやぶさの奇跡的な帰還を描いた『はやぶさ HAYABUSA』が10月1日(土)より公開される。本作で、宇宙科学研究所の研究生として働く、メガネっ娘で色気ゼロのヒロイン・水沢恵役に成りきった竹内結子にインタビュー。ダサいファッションを着こなし、専門用語だらけの長セリフと格闘した竹内だが、はやぶさには特別な思いを抱いたという。

7年間、60億kmもの旅をした小惑星探査機はやぶさは、通信途絶、エンジン停止など、何度も大ピンチを乗り越えて、奇跡の生還を果たした。本作のオファーをもらった時、竹内は少し戸惑ったと語る。「はやぶさのことはニュースで知っていたけど、正直、宇宙ものには疎くて。宇宙科学の話だし、私で大丈夫かな?って思いました。でも、台本を読んでいくと、はやぶさを全力で応援したいって気持ちがだんだん芽生えていきました」。

役作りのため、彼女はいろいろな専門書や資料、ドキュメンタリーのVTRなどを見たり、川口(淳一郎)先生の講演会に行ったりして、はやぶさのことをリサーチした。「情報を見聞きしたことで、より感動してしまい、どんどん深みにハマっていきました。なんかちょっと恋愛に似てるというか、知れば知るほど、どんどん好きになっちゃって。はやぶさって健気なんです。それで、セリフは難しいけど、やってみようって思ったら、案の定、大変な思いをしました(笑)」。

専門用語が飛び交う長セリフのシーンは見ものだ。「セリフって、ある程度意味を理解してないと入ってこないんです。でも、内容を調べれば調べるほど、さらに分からない言葉が果てしなく増えていく。いろんな方に要点だけかみくだいた説明をしてもらいながら、イメージで覚え、そこに言葉を足していきました。早口でまくしたてる時なんて、もう軽くパニックを起こしましたよ。何度もNGを出して、だめだ、この仕事に向いてないって思ったくらい」。でも、努力の結果、そのシーンでは、流暢なセリフがバッチリ決まっている。

ハイウエストなジーパンやメガネにアメピン、仕事一筋で色気は皆無の恵のファッションにも注目。「確かに、イマドキっぽいファッションやメイクを意識することはありませんでしたね。そもそも、そういったことには興味はない人なのだと。でも、恵の場合はどんなに一生懸命研究を続けようともその行為に対する支援は何もないという現状の表れのようでもある気がしてきました。それでも好きなことだからと必死で頑張る彼女がいとおしい。シャツもはみ出したらそのままで、あんなにお直しの少ない現場は初めてでした(笑)。それが寂しいというよりは、むしろ開放感を感じ、やりたかったことに意識は集中できました」。

本作では、実際にJAXA(宇宙航空研究開発機構)でロケを敢行し、JAXA全面協力下で撮影を行った。竹内は言う。「宇宙開発の場って、日常とかけ離れた、ボタン1個で何でもできちゃうSF小説のような世界を想像してたんです。でも、JAXA に入った時、あまりにも普通の光景だったので、衝撃を受けました。学校みたいで食堂や生協があったし。私たちと同じように肩を並べて生活している人たちが、ここまでの偉業をされたんだから、すごい!と思いました。人の強さを感じましたね。あのコンクリートの建物には夢や希望とかが塗り込められているんだって」。

最後に「はやぶさのことをよく知らなかった人でも、映画を見れば、はやぶさの道のりを追体験しながら、一緒に宇宙に行った気分になります」と本作をアピール。確かに映画を見ていると、このプロジェクトを支えた人々の情熱を感じ、共にはやぶさにエールを贈りたくなる。【取材・文/山崎伸子】

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