内田けんじ監督『鍵泥棒のメソッド』に堺雅人、香川照之、広末涼子が出演&撮影開始
78館という公開規模ながら興行収入約6億円を記録した『アフタースクール』(08)の内田けんじ監督、3年ぶりの作品となる『鍵泥棒のメソッド』が10月12日にクランクインした。
本作は、内田監督ならではの先の読めないサスペンスフルな展開に笑いを織り交ぜ、映画本来の面白さが詰まったスクリューボールコメディだ。35歳で無職、俳優を目指すも挫折、自殺しようと思っている男・桜井。その前に行った銭湯で、やけに羽振りの良い男・コンドウが目の前で転倒、記憶喪失になってしまう。つい出来心からロッカーの鍵をすり替え、持物を盗み出してコンドウになり代わるが、彼は非合法な裏稼業を営む男だった。コンドウへの仕事の依頼を受けざるを得なくなった桜井は、ヤクザ絡みのトラブルに巻き込まれていく。一方、記憶を失い、自分を桜井だと思いこんでいるコンドウは、あまりに情けない自分の境遇に茫然としていた。しかし病院で出会った女性・香苗の助けもあり、前向きに生活を立て直していく。その香苗はある理由から、どうしても結婚したい女だった。コンドウの記憶が戻った時、それぞれの人生の再生をかけて、桜井が招いたトラブルを解決しなくてはならなくなる。
情けないけど、何だか憎めない男で、主人公の桜井には堺雅人。記憶を失っている時、そして記憶が戻った時とまるで一人二役となるようなコンドウには香川照之。努力すればできないことはないが信条で、結婚に向けて方向違いの努力をしてしまう、ちょっと変わった女性の香苗には広末涼子が、それぞれ扮する。
『アフタースクール』に続いての内田監督作品出演となる堺は、「台本のその面白さに一気に読みふけった」と言い、「僕も小さな劇団にいたことがあるので、当時のことを思い出しながら演じたい」と意気込みを語る。堺と香川、実力俳優の掛け合いはまさに本作の肝。堺は「香川の演技を間近で見られるのも楽しみの一つです。ふたつの人格を演じ分けるこの役は、日本で香川さんしかできないかもしれません」とコメントを寄せた
内田監督とのタッグについて、香川は「“運命じゃない人”だった内田監督と、“運命の人”になれたことがまず嬉しい」と喜びを語り、「共演者も気心がしれた方々で、脚本もすこぶる素晴らしく、内田監督が現場でどんな演出をされるのか本当に楽しみ。縦横無尽な奇才ぶりを堪能したい」と、既に完成を心待ちにしている。脚本の面白さにグイグイ引き込まれたという広末は、「私と同じこの感覚を、劇場にいらしてくださった方に味わってもらえるように頑張ります。私と同世代の女性にもきっと共感してもらえる、シュールでキュートな作品になると思います」と話しており、清涼感あふれる魅力を持つ彼女が、どのようなコメディエンヌに化けるのかも楽しみだ。現在撮影中の本作は、2012年秋の公開予定している。【Movie Walker】